<柔道:世界選手権>◇12日◇女子52キロ級◇東京・代々木第1体育館

 女子52キロ級は西田優香(24=了徳寺学園職)が前年覇者の中村美里(21)を破って初優勝した。

 ついに西田が中村を超え、初めて世界の頂点に立った。微妙な決勝の旗判定は白の西田が3本。その瞬間、西田は右手を突き上げ、何度もジャンプした。「どうかなと思ったけど、3本そろった時はすごくうれしかった」と目に涙を浮かべた。中村には過去2勝4敗と分が悪いが、積極的に攻めた。残り1分半で中村に指導。延長の1分すぎに指導を受けて並ばれたが、勢いだけは失わなかった。

 07年大会で銅メダルを獲得。ただその後に代表を外れ、08年北京五輪も出場を逃した。「優勝じゃなきゃ意味がないと思った。喜んだ自分が甘かった」。その間に中村が日本の頂点に上り詰めた。西田は08年嘉納杯、09年選抜体重別で中村に勝っても評価は2番手扱い。それでも父孝宏さんは常に「お前は外国選手に強い」と娘を励まし続けた。

 父は全日本柔道連盟(全柔連)強化ヘッドコーチで、山梨学院大柔道部の監督を務める。85年ソウルの世界選手権71キロ級代表だったが、3回戦で負傷し敗退した。世界大会での金メダルは西田家の夢だった。その父は観客席で娘の金メダルを見て涙を見せた。中村を超えて金メダル獲得。ついに西田家の夢がかなった瞬間だった。【吉松忠弘】