大相撲の時津風部屋力士暴行死事件で、序ノ口力士の時太山(当時17=本名・斉藤俊さん)を暴行し、兄弟子に暴行を指示したなどとして傷害致死罪に問われた元親方山本順一被告(59)の第6回公判が12日、名古屋地裁で行われた。この日は、弁護側証人が出廷したが、証人申請されていた同部屋の幕内霜鳳(30)は出廷しなかった。

 出廷予定は午後1時45分から30分間だったが、同2時15分になっても霜鳳は現れず、証人採用を取り消された。大阪に滞在していた霜鳳は「春場所初日まであと3日なので場所へ集中したかった。弁護士さんにも欠席は伝えていた」と釈明。近い関係者は「弟子に罪を押し付けようとする被告側の証人に立つことで及ぶ影響力を考えたのでは」と話している。

 出廷した同部屋の元力士(04年3月~同6月まで在籍)は、同部屋での「いじめ」を語った。同事件で有罪となった兄弟子A(26)が中心で「週3、4回は殴られた。金属バットで殴りかかるふりをされ、脅された。別の力士は、Aに尿入りビールを飲むように強要された。Aなどは親方の前ではいい兄弟子を演じていた」などと証言した。

 山本被告については「優しい人」と評価。それでも検察側による「被告は、兄弟子による体罰に気付いてなかったのか」の問いには「うすうすは知っていたと思う」と証言した。