<都市対抗野球・2次予選東北大会:七十七銀行2-1JR東日本東北>◇6日目◇3日◇仙台市民球場◇決勝・第1代表決定戦

 七十七銀行(仙台市)が2-1でJR東日本東北(仙台市)を下し、3年ぶり4度目の優勝と、2年連続5度目の本大会(8月29日開幕、東京ドーム)出場を決めた。1-1と同点の9回2死三塁、7番DH目黒達也内野手(24=東北福祉大)がグリップエンドに当てる内野安打を放ち決勝点。相沢滋投手(35=東北学院大)が11安打を浴びながら121球で完投、最優秀選手賞に輝いた。

 奇跡の打撃が決勝点を生んだ。9回2死三塁、ファウルで粘った目黒が「内の厳しいところに来た」という10球目。止めたバットのグリップエンドに当たり、コロコロと三塁線に転がった。昨年W杯でエース格の活躍をした摂津正投手(26=秋田経法大付)から決勝打を放ち、塁上で両拳を突き上げた。「何とかしようと思っていた」。執念が、バットに乗り移った。

 その魂を、最も持ち続けたのは14年目の相沢だ。11安打を浴びても、粘り強く投げ抜き1失点。「今年は苦しいスタートだった。勝てて良かった…」と涙を浮かべた。チームは小町啓志主将(29=東北福祉大)が右ふくらはぎを肉離れするなど、ケガ人が続出。大会前に門間勇介(28=法大)を内野手に復帰させるなど大幅なコンバートを行い臨んだ。バックに不安も、負けたら言い訳はできない。村瀬公三監督(41)は「今回は相沢中心のローテを組んだ。責任を感じていたと思う」と語った。

 相沢は、失点するまでアンダーシャツを替えないという。「今日は1枚だけでした」。完投勝利とともに、吸い込まれた汗を洗い流すような激しい雨。手荒くも、心地良い雨だった。【清水智彦】