ムサシも清宮に負けてはいない。九州国際大付の主砲、山本武白志(むさし)内野手(3年)が、2試合連続となる甲子園3号を放った。0-0の6回2死からの決勝弾で、学校初の8強入り。明日17日の準々決勝で、早実と対戦する。

 投手戦の緊迫した雰囲気をひと振りで変えた。九州国際大付の4番山本が、6回2死から先制の左越えソロ。真ん中高めに甘く入った直球を逃さず。主砲のひと振りでチームを夏初の8強へと導いた。

 「自分が決めようという思いで打った。ちょっと詰まったが入ってよかった。名門チームとこんなにいい試合ができてうれしい」

 1打席目は相手の決め球スプリットを意識しすぎ、直球を空振り。福岡大会を含め、今夏10試合目で初の三振を喫し、2回戦での2発に続く史上初の3打席連続本塁打は逃したが、その直球を打ち返し、リベンジを果たした。福岡県勢で大会3本塁打は初の快挙だ。

 4番対決で負けるわけにはいかなかった。作新学院の朝山は中学時代、関東選抜でともに戦った仲。昨夏の甲子園ではともに初戦敗退ながら、本塁打を放った朝山に対し、山本は4打数無安打3三振だった。この日は球場到着後、バスを降りた際に目が合った。「お互いニヤっとしたが、向こうは顔が引きつっていた」。そして打席で去年の悔しさを晴らし、試合後は互いの健闘をたたえた。

 「今年は何としても打ちたかった。去年の悔しさを忘れずにやってきて、その結果が出ている」

 3年間、野球に対して真摯(しんし)な姿勢を貫いた。この日も、朝8時に散歩に出る2時間前の6時に自主的に起床。相手投手や2回戦の自身の本塁打の映像を再度チェックし、試合に臨んだ。4番を任されている責任感は、行動にも表れている。

 準々決勝の相手は早実に決まった。「清宮くんのスイングは並じゃないけど、対戦するのは投手。注目度NO・1チームとできるのはうれしい」。準優勝した11年春を超える初Vが目標。「(本塁打は)1本でも多く打てたらいいですね」。山本の最後の夏はまだまだ終わらない。【福岡吉央】

 ◆山本武白志(やまもと・むさし)1998年(平10)2月17日、横浜市生まれ。元石川サンダーボルトで小3から野球を始める。中学は都筑中央ボーイズでプレー。九州国際大付では1年秋から三塁手でレギュラー。昨秋から4番。高校通算24本塁打。右投げ右打ち。188センチ、89キロ。父は巨人の4番で活躍した元ロッテ監督の功児氏(63)。

 ◆個人1大会3本塁打 九州国際大付・山本が大阪偕星学園戦の2本に続いて本塁打。1大会3本塁打以上は12年の北條史也(光星学院=4本)以来で23人目(24度目)。福岡県勢では初。1大会最多は85年清原和博(PL学園)の5本。