船上セレモニーなるか。第88回選抜高校野球大会(3月20日から12日間、甲子園)の選考委員会が今日29日、大阪市内で行われ、出場32校が決定する。瀬戸内海の離島にある21世紀枠の小豆島(香川)は2年生部員8人が今日、修学旅行から帰る。吉報が届いた場合、出迎える1年生部員とともに船の上で喜びを分かち合う。

 日がとっぷりと暮れた瀬戸内海の波間に、球児を励ます島民の拍手が漂う。今日29日に初の甲子園切符が届いた場合、小豆島の報告会は船上で行われる。

 部員17人は2手に分かれて、運命の日を迎える。センバツ出場校が決まる29日は、2年生が修学旅行先の北海道から小豆島に戻る日。杉吉勇輝監督(32)と1年生部員9人は小豆島町の学校で吉報を待つが、2年生部員8人は午後に新千歳空港を出発。羽田を経由して高松に向かい、高松港から池田港に向かうフェリーに乗り込む。

 センバツ出場が決まれば「全員がそろうのはフェリーが到着する池田港。そこで、一般のお客さんが船を下りたあと、選手は残って校長先生の報告を受けることになります」と関係者は語る。杉吉監督と1年生部員は岩沢正俊校長や塩田幸雄町長、学校OBら町民約100人と池田港に向かい、長谷川大矩(ひろのり)-植松裕貴のバッテリー、樋本尚也主将ら2年生部員を出迎える。「三十四の瞳」がそろう。

 部員不足、離島ハンディも克服し、昨秋の香川県大会で優勝。四国大会初戦で土佐(高知)に惜敗も、小豆島が決勝で破った高松商は秋の明治神宮大会で頂点に立った。「高松商がぼくらに『もっとやれるぞ!』とメッセージを送ってくれた気がした」と植松は受け止めた。秋の香川王者から甲子園初出場初勝利へ。春の便りが届けば、高松商の激励に応えてみせる。【堀まどか】