日刊スポーツ東北総局の野球記者とデスクが、17年ドラフト会議を座談会形式で先取りします。
先月20日に終わった16年のドラフトでは、東北6県の高校生6人(育成3人含む)が、大学生は2人指名されました。社会人の指名はなく、軟式野球の相双リテック(福島)菊沢竜佑投手(28=立大出)がヤクルトに6位指名されるサプライズがありました。1年後のドラフト会議では、一体何が起こるのか? 注目選手を紹介します。
デスク(以下デ) おいおい、随分気が早いな。
記者(以下記) 何言ってるんですか、17年ドラフト戦線はもう始まっています。高校野球の秋の東北大会には各球団のスカウトたちが大集結していました。
デ ほう。では早速、高校生から聞いてみるか。
記 今夏の甲子園を経験した鶴岡東(山形)の吉住晴斗投手(2年)と、大曲工(秋田)の藤井黎来投手(2年)が既にスカウトから熱視線を浴びています。
デ 2人ともデカいね。
記 右上手の吉住は184センチ、80キロの体から最速146キロの直球を投げ込みます。今夏まで硬さが見えましたが、今秋は力感のないフォームから常時140キロ前後を計測します。秋の県大会は18回無失点22奪三振と圧倒的な力で抑えました。佐藤俊監督(45)も「絶対にプロに行かせたい」と絶賛する好素材です。
デ 藤井はこの夏の甲子園で、花咲徳栄(埼玉)の高橋昂也投手(3年、広島2位)と投げ合ってたな。
記 181センチ、82キロの藤井も右上手から力のある球を投げます。最速144キロの直球に加え、100キロ台のカーブを交えることで緩急を覚えました。また夏を経験したことで連投を意識し、ギアチェンジ投法を完成させました。通常は6、7割の力で常時130キロ前半ですが、ピンチになるとギアを上げて140キロ台をポンポンと投げ込みます。
デ 2人とも東北大会決勝に残れず、センバツでは見られないか。残念だな。
記 他には、八戸工大一(青森)の古屋敷匠真投手(2年)の剛球にも注目です。178センチ、73キロの均整とれた体から伸びのある最速146キロの直球が武器です。今春から種市篤暉投手(3年、ロッテ6位)と2枚看板を形成していました。吉住、藤井と合わせて高校生投手「東北ビッグ3」と言ってもいいでしょう。
デ 野手はどうなの?
記 盛岡大付(岩手)の植田拓外野手(2年)と、仙台育英(宮城)の西巻賢二内野手(2年)が抜けています。植田の驚異的なパワーは東北NO・1です。西巻は高いレベルで走攻守3拍子そろった野球センス抜群のショートです。
デ 植田は165センチと体は小さいけど、あのパワーは桁違いだな。
記 中3で既に203キロあった背筋は現在230キロもあります。元ヤンキース松井氏の240キロに迫る勢いです。この夏の甲子園では最速154キロの創志学園(岡山)高田萌生投手(3年、巨人5位)から本塁打を打ちました。関口清治監督(39)からは50メートル5秒9の俊足も評価され「とにかく植田に打席を回したい」と東北大会では1番に抜てきされ2発。新チームから公式戦で5本加算し通算35本塁打まで積み上げました。
デ 西巻も167センチと小柄だが、主将としてチームを東北大会優勝に導いた。
記 高1の夏は1年生で唯一ベンチ入りを果たし、15年夏の甲子園決勝では代打安打を放ちました。シュアな打撃に加え、ロッテ平沢が在学中から一目置いていた鉄壁の守備は見ものです。「平沢2世」とたとえられますが、西巻自身は「自分のタイプはソフトバンクの今宮さん」と同じ右投げ右打ちで171センチの守備職人に自分を重ねています。「理想は高卒でプロ」と公言しています。
デ スカウトの判断材料の中で身長は大きいウエートを占めているのが現状。
記 この2人にはサイズ不足を感じさせない強烈な存在感があります。あと10センチ身長が高かったら、ともにドラフト上位候補です。ひと冬を越えて、体が大きくなれば面白くなります。
デ 大学生はどうだ?
記 東北福祉大(宮城)の楠本泰史内野手(3年=花咲徳栄)がイチオシです。選球眼が向上した今春のリーグでは1位の11四球を選び、4割3分8厘(2位)11打点(1位)3本塁打(1位)と準3冠王に輝きました。左打ちのショートで、今夏は大学日本代表にも選ばれています。守備に安定感が出れば、ドラフト1位も狙えます。
デ 日本製紙石巻(宮城)の宝利亮投手(24=近大)は指名されなかった。
記 入社3年目となる来年が勝負の年になります。8月の日本選手権予選(秋田)で最速150キロを計測したばかり。「チョップして投げる」曲がりの大きいスライダーも光ります。昨年は自チームで出場を逃した都市対抗で、まずアピールして欲しいですね。
デ 第2の菊沢はいないのか。
記 さすがに軟式野球まで手が回りませんよ。ウチも早朝野球に参加して、体を動かしましょう!
◆17年東北地区ドラフト注目選手◆
<高校生>
【投手】
吉住晴斗 鶴岡東 184・80右右 まだまだ伸びる直球一級品
藤井黎来 大曲工 181・82右右 甲子園経験して緩急覚えた
古屋敷匠真 八戸工大一 178・73右左 最速146キロうなる直球が光る
向井詩恩 八戸学院光星 173・68左左 今秋に本格化した最速141キロ
鳥谷部慎吾 弘前東 180・80左左 140キロ超えの直球押しまくる
長谷川拓帆 仙台育英 177・80左左 スプリット覚えて安定感◎
平松竜也 盛岡大付 180・75右右 甲子園の打撃投手で急成長
千葉英太 千厩 172・63右右 スライダー◎のドクターK
【内野手】
西巻賢二 仙台育英 167・65右右 3拍子そろった「今宮2世」
小泉徹平 聖光学院 173・67右左 瀬川といとこ二遊間を形成
瀬川航騎 聖光学院172・68右右 国体で広島新庄堀から安打
【外野手】
植田拓 盛岡大付 165・72右右 驚異的なパワー誇る核弾頭
鈴木琉生 日大山形 183・83左左 秀光中で西巻と全中を制覇
<大学生>
【投手】
馬場皐輔 仙台大 180・80右右 最速152キロの直球で押す剛腕
木場涼佑 ノースアジア大 180・80左左 3年春ベストナイン急成長
【捕手】
小林遼 富士大 173・78右左 配球◎にシュアな打撃光る
【内野手】
楠本泰史 東北福祉大 180・78右左 パンチ力ある打撃は即通用
<社会人>
【投手】
宝利亮 日本製紙石巻 186・85右右 まだ伸びしろある150キロ直球
小島康明 きらやか銀行 178・80右右 初都市対抗に導いた立役者
【捕手】
薗部優也 JR東日本東北 174・80右右 来季26歳東北NO・1捕手

