充実のキャンプを打ち上げた。広島緒方孝市新監督(46)は2日、日南-沖縄で鍛錬した30日間のキャンプを総括し、あらためて前田の開幕投手を明言。開幕ローテーションや守護神など次々と構想を口にした。緒方カープの輪郭が浮かび上がり、チームづくりは最終段階に突入。オープン戦を重ね、打線のオーダーを固めて27日開幕ヤクルト戦(マツダスタジアム)に向かっていく。

 一本締めでキャンプを打ち上げた後、緒方監督はせきを切ったように話し始めた。

 「選手が本当にしんどい練習に耐えて頑張ってくれた。開幕投手に向けて前田は順調にきている。その後に続く大瀬良、祐輔(野村)福井はやってくれると思っている。実戦でなかなか自分のいいものをそのまま出せなかったが、そこは調整していってもらうだけ。(先発を)任せられる。抑えはヒースにいってもらう」

 頭に描いた構想を一気に吐き出した。投手陣は要となる先発と抑えの陣容が固まった。あとは開幕までにヒースにつなぐ必勝パターンを模索していくだけ。表情と口調からも充実ぶりがうかがえる。

 黒田、新井の復帰組が刺激となり、チーム内で激しい競争が繰り広げられた。昨年まで5年間コーチとして動き回ったキャンプから一転、指導はコーチに一任。それでもチームには緒方イズムが浸透しつつある。丸は「コーチ時代から熱い方。向かっていく姿勢が大事だということはみんな分かっている」とナインの思いを代弁する。

 選手個々のアピールによってスタメンを決められない、うれしい悩みが残った。キャンプ期間全ての試合で野間を起用した1番は1度白紙に戻す。「シーズンを見据えていく中でいろいろ試したい」。野間を含め、鈴木誠や田中らを起用し適性を見極めていく。キャンプ序盤に「昨年は5番を固定できずに(4番の)カントリー(エルドレッド)に負担をかけた。今年は両外国人と新井、松山が候補になる」と話していたが、4番最有力のエルドレッドが右膝を負傷。緒方監督も「唯一の不安材料になってしまった」と吐露。早期復帰が待たれる。

 キャンプを打ち上げたばかりの今日3日、緒方監督は堂林と松山が出場する2軍戦を視察予定。指揮官として初めて迎えるシーズン開幕まで、休む間を惜しみ最善を尽くす。【前原淳】