本塁打より忘れられない夜かも…。阪神江越大賀外野手(22)が、失点につながるエラーを記録した。5回、梶谷の中前打を処理した後の送球が大暴投となって三本間へ。やらずもがなの1点を与えた。2戦連発のバットも空転の3三振。甲子園今季最多4万6908人の前で屈辱にまみれた。悔しい気持ちを力に変えるしかない。

 虎党の悲鳴を乗せて、白球は勢いよく三本間を転がった。1点差に迫られた5回2死満塁、3番梶谷のハーフライナーが右中間芝生に弾む。中堅江越がチャージ。カットマン遊撃鳥谷への送球が浮いた。三塁新井と本塁送球のカバーに入ろうとした岩崎の真ん中を、ボールが抜ける。一塁走者白崎も本塁にヘッドスライディングを決め、痛恨の1失点が加わった。

 江越 しっかり練習して、見つめ直していきたいです。

 猛省するしかない。打った瞬間にスタートを切った二塁走者の俊足桑原は、逆転のホームインが確実。一塁走者白崎の三塁進塁も防ぎようがなかった。焦る場面ではなかった。山脇外野守備走塁コーチは「あれはアカン。間に合わない時はカットまで」と指摘。リードを2点に広げられた場面を、指揮官も嘆いた。

 和田監督 あそこだな。1点くらいは、まだ5回の攻撃だったからね。さらに1点をやってしまったのは余計だったな。

 打席でも前夜から一転、手玉に取られた。1打席目は2回1死二塁。20歳左腕砂田のショートバウンドする内角スライダーにバットが止まらず空振り三振。6回2死一塁ではフルカウントから右腕小杉のボール球、低めのスライダーを振らされた。9回2死からは守護神山崎康の沈むツーシームにまたも手が出た。4打数無安打、空振り三振3つと散々な内容だった。

 江越 (次も)今日と同じような配球になると思う。冷静になっていきたい。

 前日24日DeNA戦では0-0の7回に決勝の3号左越え2ランをかました。阪神新人では35年ぶりの2戦連発を決め、4戦連続先発を勝ち取ったが…。4打席計17球のうち真っすぐは3球だけ。徹底して変化球を低めに集められ、気合が空回り。指揮官は今日26日のリベンジに期待した。

 和田監督 こんなので落ち込むようなことじゃダメ。ただ、起こってしまったことを仕方ないで済ませるのではなく、どうするべきだったか、しっかり考えて、次にないようにね。

 送球ミスの直後、立ち尽くす江越の元に向かう右翼福留の姿があった。「切り替えろ!」。かけられた言葉はナインの総意だ。試練は乗り越えるためにある。【佐井陽介】