ソフトバンクが、力でねじ伏せて2連勝を飾った。ソフトバンク李大浩内野手(33)が4回、ヤクルト小川から決勝2ランを放った。負傷した内川に代わって4番に入り、初戦の3安打に続く大奮闘。走攻守で圧倒したソフトバンクが2戦2勝とし、ポストシーズン9連勝。2年連続の日本一へ前進した。第3戦は27日、神宮球場で行われる。

 走攻守。どこをとっても圧倒している。打線では中心の李大浩が機能した。グイッと、ヤクルトのライアン小川をひと飲みした。4回、無死一塁から初球カーブをすくい上げると、高々とアーチを描き左翼ポール奥へ運び去った。「狙ってなかった。ビデオ見て初球カーブが18~20%あるのは頭にあったよ。タイミングぴったりだった」と会心の笑顔。韓国にも乳飲料のヤクルトは売られており、「好きですよ」とニッコリ。日本と違いふたの色が赤ではなく緑だが、母国でもなじみの飲料。第1戦でも3安打と、野球でもヤクルト大好き状態だ。

 4番不在など関係ない。前日、今季134試合、4番を務めた内川が肋骨(ろっこつ)の骨折で離脱した。大黒柱の離脱-。普通のチームであれば、動揺するアクシデントでも、このチームは違う。層の厚さで、十分にカバーできる。代役4番の先制アーチを合図にたたみかけ、圧倒した。

 李大浩にもトンネルがあり、乗り越えていた。リーグ優勝決定後、極度の不振に陥っていた。16試合で51打数8安打。打率1割5分7厘。あと1本だった30本の大台に乗せようとオーバースイングになっていた。だが、秋山前監督に助言をもらいきっかけをつかんだ。CSファイナルステージ前から、ティー打撃やロングティーでワンバウンドを打つ練習を重ねた。左足を高く上げて待ちかまえる本来の姿を取り戻した。

 CSは、まさに盤石。3試合で打率4割1分7厘。2本塁打、4打点。第3戦では右翼ホームランテラス席へ運び、期間限定の賞品だった羽田~オーストラリア・シドニー間の往復航空券をゲット。「いつも内野ノックなどでお世話になっているから」と鳥越内野守備走塁コーチへプレゼントした。その航空券は、李大浩のファンだという同コーチの母親に届けられた。

 この日ベンチには内川の背番「1」のユニホームが飾ってあった。「ともに戦う。見てもう1回集中力を高めているよ」と話す李大浩が打線を引っ張り、2連勝。これで昨年の阪神との日本シリーズ第2戦からポストシーズン9連勝だ。工藤監督はお立ち台で「全部勝つつもりで頑張っていきたい。勝てる試合をしますのでぜひ神宮の方へ足を運んでください」と4連勝宣言。強い。負ける要素は見あたらない。【石橋隆雄】

 ◆今季のソフトバンク 両リーグ最多の90勝を挙げて勝率6割4分7厘、2位日本ハムに12ゲーム差をつけた。パの5チームすべてに勝ち越して、セ相手の交流戦でも12勝6敗の1位。ホームで勝率6割3分8厘、ビジターで勝率6割5分7厘を記録し、1試合しかない地方球場を除いて負け越した球場がなかった。主要部門では盗塁がリーグ3位だったが、得点、安打、打率、本塁打、打点、得点圏打率、防御率、失策など、ほとんどがリーグ1位の成績を残した。

 ▼ソフトバンクは昨年のシリーズ第2戦からポストシーズン9連勝で、シリーズは6連勝。ともに球団史上初めてで、工藤監督はCS○○○、シリーズ○○。新人監督がポストシーズン初采配から無傷の5連勝は02年原監督(巨人)の4連勝を抜く新記録。