「下克上男」阪神原口文仁捕手(24)が出世街道を猛進する。プロ7年目の電撃デビューから正捕手の最右翼にまで上り詰めた大活躍にファンの問い合わせが殺到。グッズ発売の大展開が検討されていることが10日、分かった。4月26日までは背番号「124」だった男のシンデレラストーリー。初の巨人戦スタメンが濃厚な今日11日、原口がまた知名度を上げる。

 2軍の遠征にも同行できず、苦しい立場に追い込まれていた原口のシンデレラストーリーに虎党も心を震わせていた。甲子園にある球団のグッズショップ。最近、虎党が口々に店員にたずねる。「背番号94のユニホームは販売してますか」。6試合連続でスタメンマスクを任され、7試合連続安打中。新顔ひしめく金本阪神でも異彩を放つほどの「旋風」を巻き起こした男の注目度を表している。

 ファンの熱いニーズに、球団も動いた。異例のスピードで原口グッズの発売を決定。営業部は「問い合わせが結構、きているみたいです。原口選手と(ドラフト6位)板山選手は早くとは思っています。レプリカユニホーム、タオル、Tシャツはまず作りたいですね」と話す。まだ店頭では発売していないが、すでに公式ホームページで原口の背番号94を入れたレプリカユニホームのオーダーを開始。今後はタオルなど、1軍クラスのグッズ展開が検討されている。

 金本監督に見初められ、2月の沖縄・宜野座キャンプに途中参戦。4月27日に育成から支配下復帰し、即日1軍デビューしてからは飛ぶ鳥を落とす勢いだ。岡崎、梅野らライバルを圧倒する打ちっぷりが何よりのアピールだろう。どっしり構え、ボール球に関心を示さない。好球必打し、パワフルなスイングで、ここまで打率5割4分2厘、2本塁打を記録している。

 1軍は初めてだが、落ち着き払った強心臓ぶりもスピード出世の大きな要因だろう。今日11日はプロ入り初めて巨人戦での先発マスクが決定的だ。坂本、長野らつわものが並ぶ相手打線について問われても「抑えられればいい。点が入らなければいい。どの打者とかはなくゼロに抑えることを目標にやっていきます」と冷静だった。ただ、こうも言い切った。「特に巨人を倒したい気持ちは強いので」。埼玉出身だが、心憎い「猛虎魂」まで飛び出した。

 思えば山田2軍コーチの背番号82のユニホームを借り、代打でデビューしたのが甲子園での巨人戦だった。誰も予想しない立志伝にはドラマがある。いまや大きな背中の「94」がひときわ輝く。苦節7年目の大舞台。甲子園に新しい景色が生まれつつある。