<ヤクルト2-4阪神>◇20日◇神宮

 鉄人アーチだ!

 阪神がヤクルトに4-2と快勝し、プロ野球最多タイ記録となる開幕から7カード連続勝ち越しを決めた。4番金本知憲外野手(40)が、初回に19歳の増渕から先制2ラン。40代の選手が10代の投手から1発を放ったのは1987年(昭62)の衣笠(当時40=広島)以来、21年ぶり。通算400号まであと2本と迫る一発だった。最後は藤川が3者三振で、球団最多タイの10試合連続セーブを決めた。

 19日のヤクルト村中は20歳。20日の増渕は19歳。2日続けて若手に抑えられるわけにはいかなかった。それが4番を担う男のプライド。150キロ右腕、増渕を、40歳のバットがたたきつぶした。

 「どうしても先制点が欲しい場面だったからね。昨日は真っすぐに力負けしてしまっていたから、今日は振り負けるわけにはいかなかった。真っすぐだけはしっかり振っていこうと思っていた」。

 初球だった。1回2死二塁、外角高め145キロを、レフトへたたく。打球は切れることなくポール際に飛び込む。5日の巨人戦(東京ドーム)での1発以来、10試合本塁打の出ていなかったチームに、379打席ぶりに一発の息吹を吹き込んだ。

 「(チームに本塁打がなかったのは)全然気にしていなかった。うちは元々、つないで勝ってるチーム。巨人とは違うから」。

 金本がプロ入り後、本塁打を放った投手はこれで185人目。門田博光氏を抜き、清原、ローズに次いで単独3位に浮上した。21歳差の相手は、これまで金本が本塁打を打った相手の中で最も年齢差のある投手。プロ入り時には2歳だった若手からの1発で、節目の400号にもあと2本と迫った。

 東京入り前、金本は勢いのある今のチームについて「皆がそれだけ勝ちたいって思っているってことよ」と話した。ベテラン、中堅だけでなく、20代の若い選手たちが勝利に向かって団結している。これでチームは開幕から7カード連続の勝ち越しで、プロ野球タイ記録。「連続記録とかは気にしてなかったけど、やっぱり3連戦で勝ち越すのは目標だから、いいと思う」。40歳の主砲は決して手綱は緩めない。【福岡吉央】