<ソフトバンク5-4巨人>◇1日◇福岡ヤフードーム
162キロは外角低めのボール球だった。巨人クルーンが05年に自身が計測した球速の日本記録を1キロ更新した。同点の延長10回、先頭松田の3球目。空振り三振を奪いしばらく間を置くと、証人となったファンの驚きがヤフードームを包んだ。「ブルペンから走っていた。162キロの球で三振を取れたことはうれしいが、負けてしまっては」。自分しか破れないであろう記録にも冷静だった。
スピードについての持論がある。遠投を練習に取り入れるクルーンは、センター深くから本塁まで、悠々とストライクを投げる。「横浜スタジアムでは、本塁からバックスクリーンに入れたことがある」という。「肩の強さと球速に相関関係はあると思う。プレートからベースに距離が縮まれば、スピードが上がるさ」。チームで最も強肩の亀井が「同じ人間とは思えない」という鉄砲肩。原動力だと信じている。
守護神として、もちろん勝利が最優先。原監督は「マーク(クルーン)は1点入った場合、もう1イニングだったのだが」と内情を説明した。だが同時にファンがスピードを求めていることも重々分かっている。「表示は見ていないが、球場の反応で分かった。ファンから見れば、良かったのだろう」。長い通路は最後まで、複雑な思いを吐露して終えた。【宮下敬至】




