<阪神3-2ソフトバンク>◇7日◇甲子園

 「代打の神様」はちょっと早いので「代打の天使」ぐらいか。浅井が、虎キラー杉内の速球を痛打した。1点を追う7回裏。バントが決まった1死二塁でとっておきの代打で登場だ。センター後方に打ち返す三塁打で、ゲームを振り出しに戻した。

 「お立ち台は気持ちいい。でもサヨナラ打ではないので呼ばれないと思っていた」。プロ7年目で初めて、マンモス甲子園のヒーローインタビューを受けた。サヨナラ打の新井に手を掲げられ、はにかんだ。地味ながら、パンチ力のある打撃を磨いてきた伏兵が脚光を浴びた。

 5月24日のヤフードームでは8番指名打者で先発し、杉内から2安打していた。「浅井はいい場面にとって置いた」と岡田監督も、甲子園での切り札とみていた。

 「準備はしていた。大事な場面で使ってもらった。絶対に真っすぐがくると思って、速い球に負けないよう思い切り振った」

 カウント2-2から、狙っていた142キロを振り抜いた。直前のひざ元の変化球にバットが止まったのが勝因だった。なぜ、速球1本に絞れたのか。「前の2安打が2本とも変化球だったので、きょうはストレートでしょう」。打撃を生かすために今季から外野に転向したが、元捕手の思考がさえた。冷静さと思い切りで、杉内を攻略した。

 「神様」の域に達した桧山が行うグアム自主トレに同行している。今季開幕からベンチでの役割も、ベテラン桧山と重なる。「いつも横で桧山さんがアドバイスしてくれる。『このタイミングで浅井がくるぞ』とか。助かっています」。耳に残る神様のささやきが、1打席勝負の場で後押しになっている。

 今季初の代打安打で初打点、初長打と初が連なった。外野コンバートで再起を期す男が笑った。【町田達彦】