中日が今オフのFA補強を封印することが26日、わかった。エース川上憲伸投手(33)がメジャーに流出する危機を迎え、主砲タイロン・ウッズ内野手(39)も退団濃厚となる中、落合博満監督(54)は「FAには手を出さない」と断言。外国人選手や若手の底上げなどで補強するオレ流戦略で、09年を戦う。

 巨人に敗れて無冠で08年シーズンを終えた落合監督は、FA補強封印の方針を明かした。「FAには手を出さないだろうな。中日に来たくないっていう選手に頭を下げていく必要もない。よっぽど入れてくれっていう選手がいれば別だけどな…」。何が何でも欲しい選手がおらず、獲得すれば人的補償で必要戦力を失いかねないことが決断の理由。さらに、現有戦力の底上げに自信を持っていることも要因の1つだった。

 今オフは横浜の金城、三浦、相川、ロッテ清水、橋本ら有力選手がFA権を所有している。落合中日はこれまで06年オフに日本ハムからFA宣言した小笠原の調査(最終的に参戦せず)を行い、07年オフには西武から宣言した和田を獲得した経緯がある。だが、今オフは参戦しないという。

 現在、エース川上はFA宣言してのメジャー移籍が最有力。4番打者として4年間チームを支えたウッズも球団の減俸提示を受け入れなければ退団となる可能性が高い。2人の穴は決して小さくないが、それでも指揮官はこう言う。

 「何のためにドミニカに藤井と新井を行かせたんだ?

 こっちだってクライマックスあるのに、あいつらを行かすっていうのはどういうことかわかるだろ」。

 CS前にあえて新井、藤井ら野手3人、投手3人をドミニカ・ウインターリーグに派遣し、将来へ向け経験を積ませている。来季はFAで高年俸の選手を獲得するより、力をつけている若手にチャンスを与える方針のようだ。その姿勢は「現有戦力の10%底上げ」を掲げて、新人以外の補強なしで優勝した04年に重なる。リーグ3位の屈辱から巻き返しをはかる来季。補強戦略から“原点”に立ち返って、新シーズンに備える。【鈴木忠平】