ドミニカで復活をかける!

 故障のため2シーズン1軍登板のない中日久本祐一投手(30)が4日、左ひじのリハビリのため、中部国際空港からドミニカ共和国に向けて出発した。ウインターリーグに参加する浅尾らとともに現地チーム「エストレージャス」に帯同してリハビリを続けるためで、60万円以上の費用も全額自腹。カリブの地から左腕がはい上がる。

 決意の出発だ。中日では06年から毎年、同国のウインターリーグに選手を派遣しているが、久本はリハビリ先としてドミニカ行きを志願。秋季練習中に異例の渡航となった。往復30万円の飛行機代や約1カ月間の宿泊費など、出費は60万円以上にも膨れあがる見込み。それでも全額自腹で負担する。「2年間(1軍で)投げていないので、来年こそ投げないと」。復活にかける左腕の決意は固い。

 03年には主に中継ぎで51試合に登板した久本だが、今年4月に左ひじを手術。今季はリハビリに専念し、その締めくくりの地としてドミニカを選んだ。13時間の時差があり、片道24時間を要す地球の裏側。日本よりも治安が悪く、食文化も違うが、炊飯器と米7キロをスーツケースに詰め込み、自炊覚悟で飛び立った。

 「向こうは暖かいし、一度行ったこともある。ずっとリハビリをみてもらっていたワタリさん(住田コンディショニングコーチ)がいますから」。07年には同国ウインターリーグに参加しており、ドミニカへは今回が2度目の渡航。ほかの中日選手たちが所属するエストレージャスでの練習やウエート施設の利用も認められており、トレーナーも同行することから、環境面での不自由もないという。

 左ひじも順調に回復しており、キャッチボールの距離も約50メートルまで伸びた。ドミニカではブルペンで立ち投げを行うことが目標。「ひじの状態はめちゃくちゃいい。来年、いいスタートが切れるよう、焦らずやっていきたい」。温暖なカリブの地から復活へ。自腹の60万円も、空白の2年間も取り返す。【福岡吉央】

 [2009年11月5日11時31分

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