<楽天5-4巨人>◇21日◇Kスタ宮城
楽天がセ・リーグ首位の巨人に逆転サヨナラ勝ちした。2点を追う9回、1死から3四球で満塁とすると、代打憲史外野手(33)の2点適時打で同点。なお満塁で鉄平外野手(27)が、巨人の6番手福田から左前へサヨナラ適時打を放った。楽天は連敗を2で止めて、パ・リーグの最下位を脱出した。08年途中から続いていた巨人戦の連敗を5で止めた。
鉄平が逃げ回っても、興奮した仲間は容赦なかった。すっかり暖かくなった杜(もり)の都なら、ウオーターシャワーも心地よかった。ずぶぬれでお立ち台に直行した寡黙なヒットマンも「ストライクは迷わず、思い切って、と決めてたんです」と、少し上ずる左前へのサヨナラ適時打だった。
「覇者巨人に勝ちたい」。個々の決意が歓喜までの過程を紡いだ。完封負け寸前の8回2死、中村紀の2ランがのろしだった。巨人が誇るセットアッパー山口の外角低めスライダーを、バックスクリーンに放り込んでみせた。中日時代から、巨人戦の好機でことごとく痛打を決めてきた勝負師。「このまま終わるのは絶対に嫌だった。何が起こるか、分からないからね。油断ならんからね」と、Kスタ宮城の空気を変えた。
9回表のマウンドには「巨人戦に先発してみたいんです」と切望していた片山が走った。「ジャイアンツは特別」と鼻息荒い一塁手山崎から、「3者三振で裏の攻撃に回せ」とハッパをかけられ燃えた。重たい打線でも「全く気にならなかった。ミットだけ見て、思い切り腕を振っただけ」。好テンポで3人で抑え、伏線をつくった左腕に2年ぶりの白星はついた。
サヨナラ機は3連続四球でもらった。5回までに4度、先頭が出塁したが拙攻だった。だから本当の殊勲者は、先発永井と嶋のバッテリーかもしれない。5回まで被安打1、無失点。巨人打線を黙らせクロスゲームに持ち込んだ。
立ち上がりを苦手とする永井は、外角直球主体で探りを入れる傾向がある。だがこの日は初回の全18球中、10球がカーブまたはフォーク。変化球を軸とし強振を誘った。2死二塁で4番ラミレスにカーブから入り、3球フォークを続け空振り三振。いきなり勝負どころのような配球だった。永井は「勇気を持っていけた。みんなに感謝です」と謙虚だったが、先発するための中7日で、期間中は他チームに悟られないようダミー調整を強いられる不利もあった。
初回得点が46点と群を抜いて多い巨人を封じた執念。現在、プロ野球界で最も困難な作業を遂行した時点で、実は主導権は楽天にあった。【宮下敬至】
[2010年5月22日8時53分
紙面から]ソーシャルブックマーク



