<中日4-1阪神>◇7日◇ナゴヤドーム
熱いものがこみ上げてきた。1年ぶりに上がったお立ち台。中日山本昌投手(44)は今季初登板で初白星を手にすると、目を潤ませた。4カ月遅れ。プロ27年目の“開幕”の喜びをかみしめた。「苦しいシーズンでしたが、こうやって帰ってこられてよかった。最後のチャンスだと思い、全力でいってつぶれようと思った。本当にいい結果になってよかった。やっぱり勝つと感激するし、最高の試合でした」。阪神を6回4安打1失点に抑えた。23年連続勝利で、47歳の西武工藤のプロ野球記録に並んだ。4日後には45歳の誕生日を迎える大ベテランの涙。落合監督も「よほどうれしかったんだろう。泣かれてもしょうがないんだけどな。でも、いいじゃん。そういう気持ちがあるだけ」と目を細めた。
道のりは長かった。2月のキャンプ終盤に左肩甲骨付近の違和感を訴え、開幕ローテ争いから離脱。元気な姿で1軍を目指す若手投手陣を見て「オレも今年で終わりかな…」と弱音を吐いたこともあった。
それでも「1年でも長く野球がしたい」と、2軍の練習開始1時間半前の朝8時半には球場入り。昨年以上のメニューをこなした。3月以降の5カ月間で休んだのは、球宴休みの1日だけ。「引退すればいつでも休める」。1軍のマウンドに上がりたいという気持ちだけが原動力だった。
6月には引退の2文字が脳裏をかすめた。復帰後の2軍のマウンドで左ふくらはぎを痛め、1球で降板。チームスタッフですら声を掛けられないほど落ち込んだ。それでも数日後には「オレはやるから」とトレーニングルームでマシンと向き合った。
つらかった思い出も、330日ぶりの白星がすべて吹き飛ばしてくれた。通算206勝は江夏豊(西武)とともに歴代20位となり、実働年数も歴代単独3位の25年に伸ばした。「毎回こういう気持ちで投げるようにしたい」。逆転Vを目指すには、頼れるベテラン左腕の存在は必要不可欠。チームに欠けていたピースが、ついに戦列に加わった。【福岡吉央】
[2010年8月8日9時22分
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