<阪神6-9ヤクルト>◇13日◇京セラドーム大阪
ヤクルトが球団タイ記録となる7試合連続の2ケタ安打で、連勝を8年ぶりの10に伸ばした。2点リードの6回、田中浩康内野手(28)の3号3ランなどで一挙5点を奪うなど、狙い球を絞った打撃で13安打9得点。終盤の阪神の反撃を継投でしのいだ。12日の巨人戦に続いて、2日連続で首位のチームを引きずり降ろし、最大19あった借金は1まで減った。
ハイタッチをかわしながら、ヤクルト小川監督代行はベンチ裏へと引き揚げた。選手たちの手は、どの手も頼もしく感じた。「1点を取りにいったんだけど、結果的に失敗して…。でも選手たちが自分のミスを5点にして返してくれました」と振り返った。約2カ月前、監督代行として初勝利を挙げた球場で、監督代行が率いるチームとしては球団新の10連勝。この日も勝負強さを見せた。
小川監督代行が選手に感謝したのは6回の場面だ。無死一、三塁から、川端にスクイズを命じた。しかし、カウント1-2からの投球はワンバウンドするスライダー。バントするには難しい球だった。「なんとか前に転がしたかった」と川端は悔やんだが、空振りすれば三塁走者がアウトになりチャンスを失うところ。なんとかファウルにしたことで打線がつながった。
残ったチャンスを生かすため、8番川本の打順では、先発館山の続投を決意しながら、ネクストバッターズサークルにユウイチを立たせて、相手にプレッシャーをかけた。川本が犠飛で1点を奪うと、館山がど真ん中の直球を右翼線に適時二塁打でたたみかけた。さらに、青木が敬遠された直後の初球を田中が左翼席へ運び、5点を奪った。
適時打6本のうち5本が最初のスイングで放ったもの。各打者が意図を持って仕留めにいった証しだ。打線復活の立役者の1人が、この日から遠征先にも帯同するようになった伊勢巡回コーチだ。的確なアドバイスで若手の能力とやる気を引き出した。その手腕は恩師の野村克也元監督からも認められた。先日、お中元として松葉ガニを贈った。その数日後、ポストに届いた野村元監督からのはがきには「さすが伊勢先生。頑張ってください」と、激励の言葉が書かれてあった。
ヤクルトの復活快進撃は、3強3弱だったセ・リーグの勢力図を書き換えた。小川監督代行就任後の勝率は、ここまで6割6分7厘。このままシーズンを戦い抜けば、77勝65敗2分けまで到達する。クライマックスシリーズ進出に向けて、上位3チームを脅かす存在にまでなった。高田監督のシーズン途中での休養は無駄ではなかった。
それでも、首脳陣は冷静だ。好調の打線について伊勢コーチは「止まるよ。もうすぐ」と分析する。打線の好調持続は10日間ほどだというのが持論だからだ。小川監督代行も、その時を想定しながら準備をしている。「いつまでもこの調子が続くものではない。(好不調者が)うまいこと巡回してくれれば」と、この日は宮本、相川を休養させながら勝利した。今やヤクルトはセ界最強の台風の目になりつつある。【竹内智信】
[2010年8月14日9時13分
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