<中日5-1広島>◇13日◇ナゴヤドーム

 中日吉見一起投手(25)が広島打線を7回1失点に抑え、今季10勝目を挙げた。08年の10勝、09年の16勝に続く、3年連続の2ケタ勝利。これで今季はナゴヤドームで9勝2敗。本拠地で抜群の強さを誇るエースが、前田健との投げ合いを制した。中日では、04年から07年にかけて4年連続で2ケタ勝利を挙げた川上憲伸(現ブレーブス)以来の快挙。また阪神が敗れたことで、チームには自力Vが復活した。

 かつてのエースをほうふつとさせる力強いシャウトだった。6回、赤松のバットが空を切ると、吉見は拳を握りしめ「よしっ!」と叫んだ。普段は終盤に飛び出す両手のガッツポーズ。持ち前の粘りの投球が7回の勝ち越し劇を呼び込み、ガッツポーズがトレードマークだった川上以来の3年連続2ケタ勝利をつかんだ。

 「僕1人の力ではなく、野手の皆さんのおかげ。苦しかったけど、自分らしさが出せたかと思う。これがゴールではなく、通過点でありたいですね」

 ピンチを脱するたびに右拳を握った。初回には1死一、二塁で栗原を遊撃への併殺打に仕留めると、5回には2死満塁で嶋を捕邪飛に打ち取った。走者を背負っても、大崩れすることはなかった。

 エース対決を制した価値ある白星だ。マウンドに上がる前に、毎回ベンチ前で肩甲骨をほぐす前田健に対し、吉見は数試合前から始めた太もも上げを繰り返し、試合中にフォームを修正した。「きょうは最初はヤバいと思った」が「うそでもいいから堂々としよう」とエースらしい、立ち振る舞いで、広島打線にスキを与えなかった。

 これで、10勝目前で2度足踏みをしたチェンを抜き、チームの10勝一番乗り。川上以来の快挙にも「比べたら申し訳ない。投球術もないですし、投手像をみても、まだ見劣りするかなと思う」と、謙虚な姿勢は崩さなかった。それでも「1年だけじゃだめ。憲伸さんのように毎年勝ち続けることができて、やっとエースだと思う」とシーズン前に語った理想のエース像に近づく10勝目だったことは間違いない。

 落合監督も「毎日一緒。オレが言わなくても1行目に書いといて」と、試合をつくった吉見をたたえた。これで12勝の前田健、巨人東野に2勝差。逆転での2年連続最多勝も、手の届くところまで近づいてきた。

 「序盤、前半と、ずっとチームに迷惑を掛けたので、それを取り返すように。投げる試合は1つでも多くアウトを取って、勝てる投球をしたい」。次回は優勝を争う巨人戦での登板が濃厚。エース吉見が逆転Vへの先導役となれば、歓喜もおのずと近づいてくるはずだ。【福岡吉央】

 [2010年8月14日12時2分

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