<中日5-1広島>◇13日◇ナゴヤドーム

 中日荒木雅博内野手(32)が汚名返上の決勝適時打を放った。1-1の7回1死満塁、大歓声を背に受けて打席に立った。カウント2-2、広島のエース前田健の内角高め直球を打ち返すと、打球は中前に弾んだ。難攻不落の右腕を沈め、勝負を決める2点打だった。「球種とかより、とにかく1点取りたいっていう気持ちだけだった」。

 一塁上で大拍手を浴びた荒木は控えめに顔を上げただけ。殊勲打は自身の中では自戒の一打だった。1点リードの5回、無死一塁から石原の打球を後逸。ライナーだと思った打球が沈んだ。この失策をきっかけに先発吉見は1死二、三塁のピンチを背負った。両軍エースの投げ合いの中、致命的なミスをした自分が許せなかった。

 だが、荒木は救われた。吉見がこの大ピンチを無失点で切り抜けた。ベンチに戻ると、三塁・森野とともに落合監督に呼ばれた。「お前らが足を引っ張ってどうすんだ!」。珍しく声を荒らげた指揮官が言葉が荒木の耳から離れなかった。

 そして7回の打席、直前に同点とされた吉見に代打が送られた。打つしかない-。つまりながらも打球を中前に運んだのは主力としての意地。吉見に救われた荒木が、最後は吉見を救った。1戦1戦の重みが増す終盤戦でチームのきずなが見えた。【鈴木忠平】

 [2010年8月14日12時19分

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