30日にクライマックスシリーズ(CS)進出か、5年ぶりBクラスかが決まる日本ハムが29日、幻になるかもしれない日本一プランを固めた。CSに進出した場合を想定し、大胆な先発ローテーションを検討。西武とのファーストステージ(S)でチームトップ14勝の武田勝投手(32)を温存。好相性のソフトバンクとのファイナルS初戦まで起用しないプランが浮上した。逆転日本一を狙う秘策が日の目を見るのか。ロッテ-オリックス戦の結果が運命の分かれ道だ。

 わずかな可能性を信じ、日本ハムが早くも下克上へ向け、大胆な青写真を固めた。ファースト、ファイナルの両ステージ突破を狙うローテーションを、首脳陣が水面下で計画。西武とのファーストS第1戦にエースのダルビッシュは想定内の配置だが、左腕エースの武田勝は同Sの登板を見送ることが濃厚になった。パ王者で好相性のソフトバンクとのファイナルSの開幕投手で起用し、大まくりを狙う策で臨む。

 今季最終戦から一夜明けたこの日のナイターで、ロッテがオリックスに接戦勝利。CS進出の可否は、リーグ最終戦までお預けになったが、関西空港から札幌入りした梨田監督はすでに頭を巡らせていた。「日本シリーズに行かないと意味がない。西武に勝って、ソフトバンクにめちゃくちゃにやられたんじゃね」。その狙いを遂げる策が、定石破りの先発編成だった。

 最大のキーマンになるのが武田勝だ。今季はソフトバンク戦で7試合に先発し、無傷の5勝で対戦防御率1・07。通常なら2戦先勝で勝ち抜けのファーストSを突破するため、ダルビッシュに続いて第2戦を任せるのが自然な起用だが、驚異的な強さを考慮。同監督はファイナルSのアドバンテージでの絶対不利の状況も考え「杉内とマサルになるんじゃないかな。勝てたら大きい」と投入を示唆した。

 ファーストSでは突破へ向けてケッペル、ウルフが先発準備する見込み。武田勝の後を受けるファイナルS第2戦は、木田または糸数、八木らを候補に人選。第3戦からファーストSで出番があるダルビッシュからまた投入し、2年連続の日本シリーズ切符をもくろむ。1日のオフを挟んで30日、CS進出を信じて、札幌ドームで全体練習を再開。ロッテの戦いを札幌市内の自宅でテレビ観戦した梨田監督は「自分たちの力ではどうしようもないですし、結果は結果として受け止めるしかない。希望を持ってCSへの準備を始めたい」と淡々とコメントした。昨季覇者が万策を期して、波乱を起こせるチャンスを待つ。【高山通史】

 [2010年9月30日11時52分

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