<パCSファイナルステージ:ソフトバンク1-3ロッテ>◇第1戦◇14日◇福岡ヤフードーム
ロッテのエース左腕が期待に応えた。成瀬善久投手(25)が今季3度目の「開幕」試合となるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦に先発。1失点完投勝利を挙げた。プロ初となる中4日での先発をものともせず、4安打9奪三振の快投だった。ロッテはファーストステージからCS3連勝。リーグ優勝のソフトバンクには1勝のアドバンテージがあるため、これで1勝1敗のタイとなった。
新しい成瀬の船出だった。1回、安打と2四球で2死満塁のピンチ。6番ペタジーニにはカウント2-2から2球続けて直球。思いきり腕を振った140キロにバットは空を切った。6回には小久保、多村、ペタジーニの主軸を3者連続三振。すべて空振りで仕留めた。7回で既に球数は100球を超えたが、8回にベンチに下がった際、西村監督に聞かれる前に「行きます」と自ら志願して9回のマウンドに立った。1失点完投。「テンションが上がっていて、最後までいくことしか頭になかった」と力強く言い放った。
3度目の“開幕戦”で得た価値ある白星だった。3月20日のシーズン開幕戦は西武涌井との対戦で敗戦。9日のCSファーストステージでも第1戦を任されたが7回0/3を2失点で勝敗はつかず。エースとして1年間ローテを支えてきた左腕が、三度目の正直でついに勝利を手にした。13日は25歳の誕生日。調整が終わるとチームメートから「ハッピーバースデー」の歌で祝福され、翌日には自らの勝利で祝ってみせた。
新球で投球の幅も広がった。これまでの直球、チェンジアップ、スライダーの3種類に加え、110キロ台のカーブを披露した。2回、田上への初球は空振り。6回、小久保への初球は見逃されボール。8回、川崎への2球目。わずかにタイミングをずらし、中飛に仕留めた。
シーズン途中で負けが続いても「他の変化球を投げようとするとバランスが崩れる」と、けっしてスタイルは変えなかった。だが、練習のブルペンで西本投手兼バッテリーチーフコーチから「カーブも使えるんだから、投げてみたらいい」と勧められ、シーズン終盤でカーブを試投。ファーストステージの西武戦でも、中島への初球にカーブで空振りを奪うなど、確実に相手の意表を突いた。登板前日「カーブなんて難しくて投げられないですよ。スライダーってことにしといてください」と隠したが、間違いなく大一番用の秘策だった。それほど勝ちにこだわっていた。
プロ初の中4日での先発登板も関係なかった。134球の熱投に「中盤から球が走ってきた。中4日の割にいい球がいっていた」と満足そうな表情。西村監督も「うちのエースらしい素晴らしい投球をしてくれました」と惜しみなくねぎらった。1位チームに1勝のアドバンテージがあるため、これで1勝1敗のタイ。だがエース対決に投げ勝っての完投は、1勝以上に価値ある勝利だった。【斎藤庸裕】
[2010年10月15日8時36分
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