<日本シリーズ:ロッテ3-4中日>◇第4戦◇3日◇千葉マリン
中日落合博満監督(56)の執念采配が、ロッテの5年ぶり日本一の王手を阻止した。延長10回に無死二、三塁のサヨナラ負けの大ピンチを迎えたが、1死後から満塁策を敷くと、左の福浦に対して右腕浅尾から左腕高橋にスイッチした。福浦の打球は三塁ベース上へのライナーとなったが、守備固めに入ったばかりの堂上直が好捕してベースを踏み、併殺に仕留めた。窮地を脱した勢いに乗り、直後の攻撃で勝ち越して通算成績を2勝2敗のタイに戻した。
がけっぷちだった。延長10回1死満塁。絶体絶命のピンチでマウンドを託された高橋は打席の福浦にカウント2-3とした。誰の頭にもロッテの王手がよぎった。8球目。高橋はじっと白球を見つめると覚悟を決めて腕を振った。福浦のハーフライナーは三塁堂上直の正面へ。捕って、目の前のベースを踏んだ。併殺だ。ピンチは一瞬で消えた。高橋はガッツポーズでマウンドを駆け下り、三塁側ベンチは勝ったように沸き返った。
ハラハラのピンチ脱出も堂上直には「想定内」だった。1死二、三塁から守備固めで入ったばかり。「ファウルが三塁側に切れていたので来ると思った。ベースの位置も確認していた。緊張しましたが、重圧に負けないようにと2軍でも教えてもらっていたので」と笑顔で振り返った。
「下手な野球をやったな。何年やっても、うまくならねえな…」。4時間41分の激戦を制した落合監督は自分を責めた。3回まで毎回走者を出しながら先制できず。エンドランが併殺になり、けん制死でチャンスをつぶした。3点を先制される苦しい展開。その責任をすべて背負った。
オレ流の勝負勘が働いたのは3-3同点の9回2死二塁。浅尾がサヨナラのピンチで西岡を迎えた場面。落合監督はベンチを出ると浅尾の真っ正面に立った。「西岡と勝負するか、歩かせて清田と勝負するかはっきり決めろ」。マウンドへ行く役目は昨年から森ヘッドコーチに任せているが、ここぞの場面では自ら行く。浅尾の迷いを打ち消し、勝負に集中させた。若き右腕は西岡とのフルカウントの勝負を制しフォークで空振り三振。延長戦へ持ち込んだ。「最後はボールになってもいいやというつもりで投げた。本当によかった」。浅尾はほっと胸をなで下ろした。
10回1死二、三塁。今江を敬遠し、左の福浦に左腕の高橋をぶつけた。四球でもサヨナラ負けのピンチ。「もう嫌です。2-3なんて!
真っすぐを真ん中狙って、気持ちで投げましたよ」。高橋は興奮しながら、喜びを爆発させた。
「後ろを使って負けたら、とんでもないことになっていたと思う。こういう下手なゲームをやって勝ったということは明日からはうまく流れるでしょう」と落合監督。浅尾を8回2死一、二塁から起用したが、3イニングをまたいで投げたのはシーズンで1度。リーグ戦では無理をさせなかった落合監督と森ヘッドコーチがかけに出た。結果は吉-。ただの1勝ではなく、シリーズの流れを変えるような1勝だった。【鈴木忠平】
[2010年11月4日9時1分
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