中日浅尾拓也投手(26)が「エゴイスト」を目指す。3日、名古屋市内のホテルで開催されたトークショーの中で先輩・井端弘和内野手(35)から「もっと偉そうにしてもいいんじゃないか」と忠告を受けた。グラウンドでは周囲に気を使いすぎず、自分中心に考えることが重要だという助言に納得。球界屈指のさわやか気配りキャラを返上し、最強リリーバーになる。
2人が競演したトークショーで浅尾は突然、井端から忠告を受けた。「浅尾はユニホームを着ている時も気を使っている。その時くらいはもっと偉そうにしていいんじゃないかな。見ていて、疲れないかなと思う。もっと楽に野球をやってほしい」。昨季ホールドポイントの日本記録をつくり、今やチームの中心的存在となった右腕に対する、井端の親心だった。
打者を真っ向からねじ伏せる剛球のイメージとは裏腹に、浅尾の気配りには超がつく。チーム内では先輩、後輩にかかわらず、自分から声をかける。練習では、チーム最年少の役割である荷物運びを手伝うこともある。試合でも失点すれば責任を背負い込み、先発投手に謝罪する。「活躍した時こそ謙虚でいないといけませんから…」。浅尾はこう言って頭をかいた。
だが、井端はこの気配りがグラウンドに限っては邪魔になると指摘した。「グラウンドはただでさえ、疲れる場所なのに、ああやって周りのことばかり気にしていたらさらに疲れてしまう。(元中日川上)憲伸にしても、岩瀬さんにしても、みんなマイペースだった」。米大リーグに移籍した元エースの川上も、名球会入りした守護神岩瀬も、一流投手は己のことに集中していた。厳しい勝負の世界、特に孤独なマウンドでは、エゴイストと呼ばれるくらいでなければ戦っていけないのだ。
「僕のやっていることを見て、後輩が少しでも気づいてくれたらと思っているんですが…。でも、そういうことは徐々に後輩に任せて、調整なども自分で考えてやっていこうと思っています」。浅尾は戸惑いながらも「気配りキャラ」からの脱却を宣言。15日からは選手会合同自主トレが始まるが、自分流の調整がしたいという浅尾は参加しない予定。昨年までならチームの空気を気にして顔を出していたが、今年はオレ流調整を貫くつもりだ。
「選手は自分の成績を上げることだけ考えてくれればいい。あとは首脳陣が考える」。元祖オレ流・落合監督は選手にこう告げている。一流投手への道を歩み始めた浅尾にとって、最初のハードルは「オレ様キャラ」への脱皮となりそうだ。【鈴木忠平】
[2011年1月4日10時26分
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