闘将の源流には「ザックイズム」が流れていた。22日に64歳の誕生日を迎えた楽天星野仙一監督が、前夜のアジア杯準々決勝のカタール戦を制し、4大会連続で4強入りを決めたサッカー日本代表を絶賛した。試合ごとにたくましさを増すザックジャパンの戦いざまと、創設7年目と若い自軍とを重ね、再建論を熱く語った。「まだまだ、本当の勝つ味を知らない。道しるべをつけてやることが、1つの仕事であると考える」。巨人長嶋茂雄監督と並ぶ史上年長記録となる、64歳でのペナント奪取へ。大きな挑戦が始まる。
星野監督もまた、世界で最も広く親しまれるボールゲームに魅せられた1人だった。「日本にプロが発足するずっと前から、サッカーを見ることが好きだった。システムの緻密さ、精巧さ、素晴らしさ。素人の中で一番試合を見てるんじゃないか」と、サッカーへのリスペクトを隠さなかった。86年メキシコW杯、マラドーナが「5人抜き」を決め「神」となった瞬間を「直接見たんだ」。数少ない日本人の現認者だった。
だからこそ、ザックジャパンのたくましさは重々分かっていた。「若い選手が次々と出てくるのは素晴らしい。『そうはいくか』と、ベテランが頑張る姿。これも、面白い」。本田圭、香川、伊野波、吉田。絶え間なく流れる息吹に、経験豊かな遠藤、長谷部、松井らが有機的に絡み合っている。逆境に屈せず、試合を血と肉とし成長している戦いざまを、引き受けたチームに重ねていた。
星野監督
ウチも楽しみな選手は本当に多いんだ。その中で3分の1、4分の1でも出てきてくれれば。本当に変わるよ。まだまだ、本当の勝つ味を知らない。手探りのヤツが多い。キチッと道しるべを示してやろう、と。それが我々の1つの仕事であると考えている。
この日は今年初めてKスタ宮城で自主トレを視察した。内村、牧田、長谷部、1軍抜てきしたルーキー美馬学投手(24=東京ガス)…。自軍の宝となりうる若手に「期待しとるんだからな。頼むぞ」と声を掛けたのは本音だった。夜に出演した仙台放送の生中継では「4番は山崎」「開幕は岩隈、田中の2人が『やりたい』と言ってる。競わせる」と、固めている骨格に若手を融合させるつもりだ。
2月1日からのキャンプから構築に取りかかる。沖縄・久米島の滞在は19日間。同20日から本島に渡り、実戦漬けの日々を送る。他球団と比較しキャンプ期間が短く、激しい移動も余儀なくされる。だが、そんなハンディをむしろ前向きにとらえている。「グラウンドを借りて練習して、試合して。不自由さの中で、どこまでできるかだ。試合の中でどういうアピールをするか。そこを見たい」。完全アウェーの中で勝ち進むザックジャパン同様、厳しい環境の中でゲームを重ね、たくましくなって、3月25日のKスタ開幕を迎えるつもりだ。
選手育成、的確な用兵。継投をはじめとしたゲーム戦略。「やるからには優勝」と締めた。ザック同様、全身全霊をかけ頂点を目指す。闘将64歳の誓いだ。【宮下敬至】
[2011年1月23日8時41分
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