<中日1-0阪神>◇17日◇ナゴヤドーム

 悩める主砲が、劇的なサヨナラ打でトンネルを抜けた。中日和田一浩外野手(38)が、阪神戦0-0の延長10回2死一塁で福原から左越え適時二塁打を放った。中日は初のサヨナラ勝ちで、ナゴヤドーム今季初勝利。同球場での同カードは昨年10勝2敗と圧倒したが、3戦目でようやく意地を見せた。

 やっぱり試合を決めたのはこの男だった。体勢を崩しながらも甘く入ったスライダーをしっかりとつかまえた。打球はふわりと上昇し、背走する左翼浅井の頭をオーバー。フェンスに直撃し、一塁走者の英智が一気に生還。背番号5はベンチから飛び出したナインにもみくちゃにされた。

 和田

 (浅井が)下がったので捕られると思ったけど、(ファンの)みなさんの声援で越えてくれた。自分自身はふがいないスタートを切ってしまったのであそこで何とか打ちたかった。

 スタートダッシュを得意とする男が苦しんでいた。昨季は4割近い打率を残して4月を終えたが、今季はこの試合までヒットはわずか3本。打率は1割7分6厘だった。周囲の心配を11打席ぶりのヒットで一蹴。昨シーズン3本のサヨナラ打を放った勝負強さは健在だった。

 仙台市の東北福祉大出身。震災直後には東北に住む友人、知人に電話をしたが、つながらなかった。被災地の状況をテレビや新聞で見て何をすべきか自問自答した。「僕たちはやれと言われたところでやるしかない」。開幕直前、今できることは精いっぱいのプレーを見せることだと切り替えた。

 和田

 ストレスがたまるような試合が続いていますが、また1試合1試合やっていきたい。次はヤクルト戦がある。チームが優勝することが一番。やるだけです。

 開幕カードを負け越し、本拠地ナゴヤドームでの2カード目は、3戦目でようやく初白星。二人三脚で和田の新打撃フォームづくりに取り組んでいる指揮官も笑みを浮かべた。

 落合監督

 (試合が)重たいのは何試合も続いている。長いこといる連中はみんな慣れているだろ。(バットを)振らなきゃ何も始まらない。例年のこと。見慣れている。

 昨季12度のサヨナラ勝ちという球団記録を作った落合竜。勝負強さは今年も同じ。その中心に和田がいる。【桝井聡】