<ヤクルト4-2中日>◇19日◇神宮

 中日落合博満監督(57)が勝敗を超えた“抗議”を行った。神宮球場で午後2時開始のヤクルト-中日戦は、雨模様の曇天で神宮球場は暗くなった。7回を終了した午後4時40分すぎ、落合監督はたまりかねたようにベンチを立った。牧田球審を呼び、厳しい表情で照明を点灯するよう訴えた。

 「こういう試合で電気を使えないというのは…。日没コールドでもいいと思う。試合をコントロールするのは審判だけど、危ないところでやらせるわけにはいかない。命にかかわる」。

 震災による節電のため、4月中は東京電力管内ではナイターを行わないと決まっているが、ファンや選手の安全確保のためならば許可される。落合監督の指摘を受けると、牧田球審はうなずいて、球場係員に照明の点灯を指示。8回表、中日和田の打席から全6基36段の照明のうち、全体の3分の1にあたる4基12段が点灯して今季初の「減灯ナイター」となった。同球審は「僕たちの判断で決めました。上の判断を仰いでいたこともあって(点灯が)少し遅れました」と説明した。

 中日はヤクルトに敗れて7年ぶりの単独最下位となった。落合監督は「それはいいんだけども…」と、試合のことはそっちのけ。「選手があそこ(打席)に立って140キロのボールをよけそこなったらどうするんだ。命が危ない。人はどう思うかわからん。それでも、無理してやるっていうならオレは日没コールドゲームでも構わない」。8回の時点で2-4で負けていた。仮にその時点で日没コールドとなっていれば、2イニング残された反撃の機会を失うことになったが、選手を預かる立場として安全確保は勝敗を超えた問題だった。【鈴木忠平】