<中日0-3巨人>◇6日◇ナゴヤドーム

 原巨人が昨年7月から9連敗中だった鬼門のナゴヤドームで、やっと勝った。均衡を破ったのは7回。1死満塁から坂本勇人内野手(22)が中前へ決勝の2点適時打を放ち、1軍復帰登板となった中日チェンを攻略した。苦手意識を払拭(ふっしょく)するには幸先の良い勝利となった。

 湧き上がる喜びを拳に込めた。坂本は一塁ベース上で左の拳をグッと握った。視線の先にいたのは、ベンチで援護を願っていた先発内海だった。「内海さんがすごくいいピッチングをしていたし、代打が出ていたので、何とか勝ちをつけてあげたかった」。顔をくしゃくしゃにして喜ぶ先輩の姿に、ホッと一息ついた。

 内海に勝利を-。ただその思いだけだった。7回1死満塁。2球目の変化球を中前へ運んだ。打った球は見送れば、ボール気味の外角チェンジアップ。「ストライクでしょ。僕の中ではそう思って振りました」と振り返るように、必死でバットを出した。内海に代打が送られた直後に殊勲打を放つのは、昨年4月15日阪神戦での満塁本塁打以来。「いつも気遣ってくれる優しい先輩」へ勝利を贈った。

 開幕前の3月中旬、胸の半分以上を不安が占めていた。理想とかけ離れた現実。固まらない打撃フォームに思い悩んだ。機械音痴と自認する男が、インターネットの動画サイト「YouTube」をチェック。「この時はバットが内から出てるよなぁ。重心も若干低いのかな」。ポツリと言葉を漏らしながら、動画を見入り、理想の形を追い求めた。「いいイメージで打てています」。試行錯誤を続けた日々は、間違いではなかった。

 昨年から続いていたシーズン中のナゴヤドーム9連敗を止める一打に、原監督は「ランナーを置いたときに、信頼感がある。独特の集中力を持っているよね」と勝負強さを称賛した。好投の内海に代え、代打矢野を投入。勝負に出た指揮官の采配にも応えた。選手会長の内海が快投を見せ、チームリーダーの坂本が勝負を決める。宿敵中日を相手に、巨人の強さを証明する1勝を挙げた。【久保賢吾】