<巨人3-5中日>◇1日◇東京ドーム

 サブローのアーチが飛び出したのに…。内海のリーグ最速10勝が目前だったのに…。巨人が「天国から地獄」に突き落とされたような、派手な逆転負けを食らった。同点の8回無死、ロッテからトレードで移籍した大村三郎外野手(35)が代打で登場。カウント1ボール1ストライクから左翼スタンドへ勝ち越しの移籍1号を放った。だが、9回。守護神ロメロが大誤算。1死満塁で降板し、3番手の久保が逆転打を浴びて敗れた。ついに球団史の中でV率0%の「借金7」に突入した。

 あと1人。あと1死。紙一重だが、結果はまさに天国と地獄の差だ。9回2死満塁。代打・堂上剛の打球は、ジャンプする二塁・藤村のグラブのわずか上を通り過ぎた。しかも前進守備の右翼・大村の右脇をも抜ける。走者一掃の三塁打だ。まさかの「3」がスコアに点灯した。消沈の久保は、暴投でさらにこの回4点目を献上。原監督が「クローザーですから」と、腹をくくって9回頭に投入したロメロの乱調が痛すぎた。

 数分前までは、東京ドームの観客の大多数が、巨人の今季最高の勝利を予見していた。G党と巨人ナインの視線には、「栄光の架け橋」がはっきりと見えた。はずだ。

 同点の8回。ベンチは好投の内海に代打を送った。前日、支配下登録し、この日、出場選手登録の大村だった。女性アナウンスの「大村サブロー」というフルネームのコールと、ゆずの楽曲「栄光の架け橋」で登場。入団を祝福する大歓声に包まれ、バットを一握り短く持った。「つなぎの4番」のオーラを放った。初球内角フォークを見逃し1ストライク。2球目スライダーはボール。1-1からの3球目。外寄りスライダーを振り抜いた。打球は左翼スタンドへ。一塁を回った「新入り」は右のこぶしを何度も振り上げた。

 移籍初スイングが、勝ち越しのソロアーチ。爆発的に喜ぶナインに迎え入れられた。完全に仲間になった瞬間だった。ベンチ裏で広報に「打席に入った時にファンの方からの大歓声があって、ありがたかったです。正直バットに当たるか不安だった。最高の形になって感激しています。(ガッツポーズは)自然と出ました」と笑顔。原監督との初めてのグータッチには「感動した」と言った。

 だが、しかし。現実は余りに厳しい。原監督は「久しぶりに良い風を吹かせてくれましたね。久々の興奮でした」と大村の一発は笑顔で振り返ったが、借金はレッドゾーンの「7」に突入。ただ、「結果は負けましたけれども、原因は(ロメロと)はっきりしている。(大村が)非常にいい風というか、いい雰囲気を持ってきましたから」と、努めて前向きに話した。補強、即、結果と、これ以上ない勝ちっぷりのはずが、これ以上ない負けっぷりに転じてしまう。もはや今季らしさとも思えてしまう。まだ87試合を残しているのが救いだが、首位ヤクルトとは最大8ゲーム差に広がった。【金子航】