<阪神3-4巨人>17日◇甲子園
どうしようもないぐらい強い。原巨人が阪神に連勝し、貯金20の大台に乗せた。1回に2点を先制し、3回には坂本勇人内野手(23)が、自身17試合ぶりとなる8号2ランでダメを押した。1点差と迫られただけに、大きな1発だった。阪神には6連勝。4月20~22日のヤクルト戦で3連敗して以来、26カード連続で負け越しなしと、牙城は揺るがない。
しなやかに回転した坂本から放たれた打球が、右から左に吹く浜風に乗った。3回無死一塁で、阪神岩田の内角141キロを強振すると、白球は高々と左翼方向へと舞い上がった。「行くかなと思ったけど、風にうまく乗ってくれました」。左中間への8号2ランは、7月初アーチ。甲子園では実に3年ぶりの1発で、チームを09年終了時以来の貯金20に到達させた。終わってみれば1点差の勝利に、坂本は「結果的にすごく大事な点だったと思う」。原監督も「ギリギリでジャイアンツに軍配が上がった。いい本塁打だったね」と価値ある1発を喜んだ。
夏の始まりを告げる7月。実は坂本にとっては、試練の1カ月だ。例年打率が下降し、3割超えした09年でも2割5厘で、昨季も2割3分9厘。「そうなんですよね」と、このデータを承知していた。なぜ、7月に打てないのか。しばらく考えた後、「何なんでしょうね?
暑いからですかね」と、不思議そうに笑うしかなかった。
今季は違う。この試合前まで、7月の打率は2割7分。この数字を見た坂本は「よっしゃあ!」と無邪気に声を弾ませた。逆に、今季はなぜ打率をキープできているのか。猛暑が続く9連戦中でも「食欲は落ちないです」と、体の線も変わらない。「体重も別に減ってません。筋トレをしているので」。
地道な努力が下地にある。本拠地・東京ドームでの試合後、坂本はウエートトレーニングを行ってきた。昨季までとは違ってほぼ毎試合、疲労困憊(こんぱい)でも、先を見据えて全体の筋力を落とさないよう継続してきた。ビジターでは、早出練習(アーリーワーク)で補う。白坂トレーニングコーチは「今季は意識がさらに変わったと思う。自分がチームにとってどういう存在なのか、どうあるべきかを、しっかり理解しているのではないか」と目を細める。3番遊撃と、チームの枢軸を担う。7月になっても大きく調子を落とさない要因には、強まる責任感と野球に取り組む姿勢の高さがあった。
2位中日が敗れ、ゲーム差は5に開いた。前半戦を1試合残した状況で、独走態勢に入りつつある。貯金も20に増えたが、坂本はキッパリ言った。「あまりそういうのは気にせず、1戦1戦頑張りたい。明日は前半の最後なので、いい流れで後半戦に行けるように頑張りたい」。喜ぶのはまだ早い。坂本が鬼門の7月を克服した先には、チームにも本人にも、実り多き秋が待っている。【浜本卓也】
▼この日は坂本が3回に8号2ラン。坂本が甲子園球場で本塁打を打ったのは、09年7月31日に能見から記録して以来、3年ぶり。過去2年の坂本は、セ・リーグの本拠地6球場の中で甲子園球場だけ1発が出なかった。
▼巨人は貯金を今季最多の20に増やし、2位中日とも今季最大の5ゲーム差。巨人が貯金を20に乗せるのは09年以来で、開幕から81試合以下で到達は66試合目に記録した09年以来35度目。過去34度のうちV逸は54年の1度しかない。今年は4月25日時点では借金が7あったが、そこから26カード連続負け越しなしの快進撃で貯金20へ。巨人が借金7から貯金20は48年以来、64年ぶりだ。



