<日本ハム1-0ソフトバンク>◇14日◇札幌ドーム
“執念の塊”がソフトバンク大隣の足元を転がって中堅へ抜けた。8回2死三塁。日本ハム小谷野の決勝適時打が、試合を決めた。ベンチ、スタンド、球場全体に、爆発的な喜びが広がった。栗山英樹監督(51)は「走者を進めるという姿勢が(打線の)つながりを生み、得点を生むと思っている。心のつながり、それがファイターズの選手が持っている資質。いいゲームだった」と言った。まさに全員野球でもぎ取った決勝点だった。
先頭の糸井が中前打で出塁すると、続く中田翔内野手(23)の初球でどよめきが起こった。バットを水平に構える若き主砲。プロ5年目で初めて、送りバントを試みた。「打ててないし、準備はしていた。一発で決めたかった」。大阪桐蔭高1年時以来。結果はファウルになり、ヒッティングに切り替わった後に三振を喫したが、8球を投げさせる粘りを見せた。「失敗してるし、何としてでもと思った。試合に出してもらっている意味がなくなる」。執念だった。
栗山監督の胸中には、葛藤があった。「自分の4番像というのもあった。今日の試合は一生忘れない」。試合が終わっても、複雑な表情のまま。だが、全員の心が間違いなく共鳴した。続く稲葉は1死二塁から右方向への進塁打。「何とかしたいというのは、伝わりました」。さらにヒーローとなった小谷野も「翔はバントなんかやったことない人間だと思う。感じるものはある。みんなで取った1点だった」と充実感に浸った。
2週間ぶりに帰った札幌ドーム。栗山監督は、北海道のシルエットが刺しゅうされたシューズを新調した。「御利益じゃないけど、北海道で天下を取るんだと思ってやってきて…、みんなの思いが力をくれた」。一体感でつかんだ、感動的な1勝。とてつもなく大きい白星だった。【本間翼】



