覚悟しろ!

 今季限りで現役を引退した石井琢朗氏(42)が22日、広島市内で広島とコーチ契約を結んだ。就任会見で「意識しなくても、厳しくなると思う。若い選手には1回死んでもらおうかなと思う」と刺激的な言葉で、鬼コーチとなることを誓った。守備走塁担当として秋季キャンプから始動する予定。12球団ワーストの113失策を半減させることを目標に掲げた。

 瞳の奥は笑っていなかった。コーチ契約を結んだ石井氏は、再び勝負師の表情になっていた。会見中はときおり笑みをのぞかせていたが、始動する秋季キャンプに向け、覚悟の大きさが刺激的な言葉となって表れた。

 「意識をしなくても厳しくなると思う。ここ数年は丸くなったけど、若いころの僕は妥協をしなかったですから。若い選手には1度死んでもらおうかなと思います」

 悲願のCS進出を逃した悔しさは、引退しても頭の中から消えなかった。ユニホームを脱ぐことも選択肢の中にあったが、4年間で芽生えた思いが決断させた。「このまま広島を去るのは、そっちの方が悔しいと思った」。家族の同意を得た。現役時代には「優勝したら引退する」と言い続けてきたが、果たせなかった公約をコーチとして目指す道を選んだ。

 ポストは守備走塁担当となる方向で調整中だ。今季、チーム失策数113は12球団ワーストの数字。得点力アップと並ぶ、最重要強化ポイントだ。コーチ兼任だった今季も指導してきた堂林がリーグワーストの29失策、右膝を手術した梵が同2位の22失策を犯し、無駄な失点を招いてしまった。

 「チームの失策を半分とはいかずとも減らしたい。三遊間(だけ)で、中日と同じぐらいのエラーをしているわけだから」

 ゴールデングラブ賞を4度獲得した名手が、鬼となって鉄壁の野手陣を築き上げる。【鎌田真一郎】