阪神藤川球児投手(32)が海外FA権を行使することが28日、分かった。今季権利取得した藤川に対して球団側は懸命に慰留に努めてきた。最終的には本人の意志を尊重する形で決着し、藤川が長年抱き続けるメジャー挑戦を容認した。藤川は代理人との折衝などのため、近日中に米国に渡る。球児のメジャー挑戦がいよいよ幕を開ける。

 藤川がFA権を行使して米大リーグ移籍を目指すことが決定した。阪神球団幹部によれば、球団は藤川に対してシーズン途中からここまで懸命の慰留を続けてきたが、この日までに残留交渉は終了。最終的には長年訴え続けてきた藤川のメジャー挑戦の意志を球団側が尊重する形で決着したという。

 藤川はシーズン終了直後、福岡でのリハビリキャンプ後にも米国に渡る予定を立てていたが、日程を変更した。その後は沖縄県内でトレーニングを行っていたとみられ、近日中にも代理人との折衝などのために、渡米する予定だ。宣言期間(最短で11月1~9日)までに阪神と次回交渉の予定はなく、そのままFA申請手続きが取られる方向。米大リーグ球団との交渉が不調に終わった場合のみ、阪神と話し合いの場が持たれる可能性があるという。

 藤川は07年オフに初めてメジャー挑戦への意志を公言した。それ以降、毎年のようにポスティングシステム(入札制度)での米大リーグ移籍を訴えてきた。絶対的なセットアッパー、守護神であり、ファンに絶大な人気を誇るチームの顔の移籍を球団は認めなかった。今オフ、ようやく長年の夢が実現に向けて動きだすことになった。

 今季は48試合に登板し、24セーブ、防御率1・32という成績で、チームも5位に低迷した。11日に南球団社長の残留交渉に臨み、直後に去就について「ゆっくり考えたい。球団を出るとも、退団するとも言っていない。責任を感じている。自分が言って投手キャプテンをやって、チームをまとめられなかった」と発言するなど、阪神への愛着と責任感を強調していた。

 米大リーグ球団との交渉がまとまらなかった場合など、再び阪神と残留交渉の席につく可能性もゼロではない。だが日本球界を代表するリリーバーに対し、メジャー複数球団が本格調査している。正式にFA選手となれば、米国内でも争奪戦は必至。猛虎ファンに愛された球児が、ついに、夢に向かって歩き始める。