虎のエースに仰天プランが浮上した。阪神能見篤史投手(33)はWBC終了後、開幕2カード目の4月2日中日戦(京セラドーム大阪)に先発することが濃厚。そこに照準を合わせて、いかに調整するか。「由宇の試合で、1軍投手が登板する可能性はあるか?」。中西投手コーチは14日、この質問に、シャレのきいた答えで返した。

 「ドゥー・ユウ・ノウ・ミー?」

 26日からウエスタン広島3連戦が山口県内の由宇球場で行われる。1軍戦は開幕直前とあって、実戦はなし。この2軍戦も投手陣の調整の場として、有効活用しなければならない。同投手コーチは、能見の登板を示唆した。8日の台湾戦で先発したが、3回途中で降板。準決勝以降はリリーフ起用の可能性が高い。シーズンを迎える前に、長いイニングを投げておく必要がある。同広島戦から中5、6日の間隔で中日戦に臨めることから、日本復帰マウンドに最適だ。

 能見にとっては、とんでもない大移動調整となる。決勝まで進出すれば日本時間の20日以後にサンフランシスコから帰国。休養や練習を挟んでから実戦となるが、由宇球場は移動で大阪から3時間以上かかる。地方球場の過酷な往復を乗り越え自身の「開幕戦」が待っている。エース左腕は、昨年オフからWBCに照準を合わせハイペースで調整を進めた。使用球への対応にも神経をすり減らし心身ともに疲労の蓄積は避けられない状況。長距離移動による調整プランは吉と出るか凶と出るか。能見の進路に注目だ。【田口真一郎】

 ◆由宇(ゆう)球場

 93年開場の広島の2軍本拠地。所在地は山口県岩国市由宇町72の2。JR広島駅から約57キロ離れた由宇駅まで1時間10分、さらにバスで40分ほどかかる。バックネット裏には小高い山がそびえ、一部ファンからは「プロ野球最後の秘境」と呼ばれる。両翼100メートル。