<阪神4-3中日>◇2日◇京セラドーム大阪

 あなたに~逢いたくて~。永遠のアイドル、松田聖子さん(51)が始球式。高校時代から聖子ちゃんファンの筋金入り、和田豊監督(50)が燃えないわけがない。ヒット曲を連発した聖子ちゃんのように、クリーンヒット采配を次から次と繰り出し、サヨナラ勝ちで今週の第1位!

 青い珊瑚礁の京セラドーム大阪で、虎ファンの瞳はダイヤモンド!

 天使のウインクだ。サヨナラ勝ちに、阪神和田監督から笑みがこぼれた。ベンチ裏の控室に入るなり、安堵(あんど)交じりの表情でニコリ。一進一退の攻防を制し、ホーム開幕戦で連敗を止めた。試合前まで19イニング連続で無得点中。硬くなっていた打線をほぐしたのは和田采配だった。

 和田監督

 硬直している時はアウトもセーフも関係なく、とにかく動いていく試合をしないと。大和とマートンの盗塁もそうだし、福留の走りもね。足を使えば打線も活発になるし。

 1回から大和の盗塁で仕掛け、9回も果敢に動いた。先頭に今季初出場となる代打坂。見事な左前打で起用が的中すると、すかさず代走に荒木を送った。俊足が塁上から重圧をかけ、勝負師の顔で「今年は接戦を取るとテーマにしていたので」。2度もバント失敗した代打小宮山に鬼の目でげきを飛ばすと、懸命にバスターエンドランを決めてサヨナラの舞台を整えた。

 女神がいた。始球式をしたのは同じ62年生まれの松田聖子だった。我孫子高時代から大ファンで、現役時代は球場へ向かう車中のBGMにしていた。試合前に「SEIKO」と入ったピンクのタテジマと背番号86のテディベアをプレゼントし、キャッチボールの相手も務めた。贈ったユニホームで投球した永遠のアイドルを見詰めてニンマリ。「勝利の女神」の声には、照れ隠しに笑った。

 「藤井のヤロ~、長いことしゃべりやがって」

 藤井彰人捕手(36)は憧れの女性にボールを渡し、握手しながらマスク越しに談笑していた。特権を生かす司令塔にすかさず一塁ベンチから「オイオイ」と突っ込んだ。硬軟使い分けた表情でベンチを引き締めている。

 聖子ちゃんも歌った「さよならの瞬間」に喜び、まずは「青い珊瑚礁」ならぬドラゴンズを下した。「取ったら取られる苦しい試合だった。開幕のようにワイワイとはいかないけど、今日みたいな接戦を制すれば勢いづくからね」。開幕から4試合連続でホームランが出ないのは88年以来25年ぶり。派手さはなくても、今年の猛虎打線は何とかする。歌姫の曲のように、さあ「輝いた季節へ旅立とう」よ。【近間康隆】