異例のゲキが飛んだ。今季3度目となる中日のスカウト会議が10日、大学選手権(11日開幕・神宮ほか)を前に都内で行われた。会議の冒頭で中田宗男スカウト部長兼編成担当補佐(56)が各地区を担当するスカウトたちを前に熱っぽく語った。

 「チーム状況にもよるけど、地元からこういう選手が出たらダメ。責任問題にもなる」

 “こういう選手”とは地元の愛知・蒲郡出身のソフトバンク千賀のことだった。育成選手から成り上がった20歳右腕は、今やタカの屋台骨を支える不動のセットアッパー。8日の中日戦でも154キロを計測するなど、2イニングを無安打無失点に抑えた。

 会議を終えた同部長は「今年は非常に危機感を感じている。1、2位と言うよりは、下の方で1%でも可能性のある選手は行かなきゃいけない、ということもある」と話した。浅尾、田島ら地元の逸材を入団へと導いた竜のスカウト軍団が、焦っているというのだ。

 この日は1位候補として桐光学園・松井裕樹(3年)九州共立大・大瀬良大地(4年)慶大・白村明弘(4年)の3投手、東海大甲府・渡辺諒内野手(3年)日本生命・小林誠司捕手(23)らが挙がった。

 もちろん、退団者の人数や編成方針によって指名人数は大きく変わる。育成選手を多く指名し、3軍チームを持つソフトバンクのようにはいかない事情はある。だからこそ問われる「スカウト力」。ノーモア千賀-。目を皿にして地元の原石を探し続ける。【桝井聡】