阪神新井良太内野手(29)が10日、出場選手登録を抹消された。打率2割3分6厘と状態が上がらず、首脳陣は断腸の思いで開幕4番の2軍降格を決断。交流戦が残り4試合となり、試合の少ない時期に心身をリフレッシュさせる狙いがありそうだ。8年ぶりのV奪回に欠かせない戦力だけに、交流戦明け21日DeNA戦(長野)からの再昇格が期待される。

 今だからできる荒治療だ。7日ぶりに首位奪回した翌日10日、新井良が出場選手登録を抹消された。開幕4番を任せた男に対し、首脳陣があえて「愛のムチ」を振るった。心身のリフレッシュを期待しての緊急措置とみられる。

 不振が続いていた。ここ8試合のうち6試合で無安打。打率2割3分6厘、5本塁打、28打点。そんな数字以上に、らしくない姿も垣間見えた。好機で好球に思いきれないシーンもあった。4月には左太もも裏肉離れが完治しないまま、試合出場を続けた時期もあった。本人は必ず否定するが、プロ8年目で初めてレギュラーを務める苦悩、疲労もあるはずだ。「結果がすべて。結果を出さなければいけない」。真面目に自分を追い込む性格だけに、1度肩の荷を下ろす作業が必要なのかもしれない。

 リフレッシュ期間としてはメリットもある。幸い、最短10日間で再昇格する場合、欠場は交流戦の残り4試合だけにとどめることができ、21日再開のリーグ戦には間に合う計算。首脳陣は2軍での実戦出場にこだわらず、状態を上げさせていく方向だ。新井良は休日だったこの日静養に努め、今日11日、甲子園で2軍練習に参加予定。交流戦明け、21日DeNA戦(長野)からの1軍復帰を目指して再スタートを切る。

 今日11日、代役候補として野原、黒瀬が1軍練習に合流する。ただ、2人の出場選手登録については、右足を痛めている藤井彰の状態も見極めながらとなる。だが、新井良は和田監督が開幕4番に指名した男。元気印として虎のムードメーカーでもあり、代えが利かない選手に間違いない。チームが好調をキープする今だからこそ、先も見据えて「休養期間」を与えられた。あらためて高い期待を感じさせる措置。新井良は悔しさを糧にできる。【佐井陽介】