名演技で打倒巨人!

 DeNA中畑清監督(59)は13日、2年連続で大きく負け越した古巣巨人に勝つための秘策を明かした。戦術や采配ではない。自分が変身することをアピールした。巨人に勝ちたい意識が強すぎて、その雰囲気がチーム全体を萎縮させたと反省。熱くならず、ムキにならず、自分を抑える演技力を身に付け、選手を伸び伸びプレーさせるのが狙いだ。敵を欺くには、まず味方からということで…。

 演技力を磨いて巨人に勝つ!

 中畑監督はこの日、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」に生出演し、軽妙なトークで今年を振り返る中、巨人戦については反省の弁となった。「勝たなきゃいけないというプレッシャーを選手に与えてしまったのかな。開き直っていけば、もっと自分の力を出せる雰囲気になるかもしれない。来年は楽にやります!」と宣言した。

 放送終了後、あらためて来季の戦い方について補足説明した。「巨人戦は自分が熱くムキになり過ぎたのが反省。オレは演技できないけど、来年は一皮むけた冷静な演技ができるようにしたい」と、勝つムード作りプランを披露した。“歌手”としてはすでに演歌2枚をリリースしているが、今度は“俳優”も目指すわけだ。放送の中では「孫」をアカペラで歌い出し大いに受けたが、ベンチの中では選手の前で迫真の演技をして、楽に戦う雰囲気を演出する。

 巨人戦は「意識過剰だった」と表現した。その姿勢は数字にも表れている。犠打数はリーグ3位の133個ながら、対巨人は最少の15個。打ち勝ちたい気持ちが采配に出てしまった。5月10日には5本のホームランで7点差を引っ繰り返し、最後は多村の逆転サヨナラ3ランというド派手な勝利はあったものの、結局は5勝18敗1分けに終わった。

 オリックスからバルディリスを獲得すれば、さらに得点力はアップするだろう。「巨人戦は5割。で(全体として)貯金したいんだよなあ。貯金ってどんな感じだろうなあ」と、皮算用をはじく顔は大まじめだ。就任した年、「巨人ファンから嫌われる男になります」と宣言したが「ずっと好かれてるよ」と自嘲気味。来年こそは還暦の渋い演技で巨人に勝ち、初のクライマックス進出を果たしたい。【矢後洋一】<中畑監督の巨人戦激闘メモ>

 ◆血管3本

 12年5月8日、9回に3点差を追いつき、引き分けに持ち込むと「奇跡に等しい!」と大絶叫。「血管3本は切れたよ。すげえチームだな。最高!」とまくしたてた。

 ◆猛抗議

 同年5月9日、7回に三振の判定を巡って約3分間、監督就任後2度目の抗議。大きなジェスチャーに東京ドームの観客席から「キヨシ」コールがわき起こった。

 ◆7点差逆転

 13年5月10日、恩師巨人長嶋終身名誉監督の前で3-10から7点差を逆転し、12-10で勝利。多村が代打&サヨナラ本塁打を放ち「もう気持ち良すぎて何て表現したらいい?

 監督になって一番うれしいよ」と大興奮。