特定秘密はありません!

 DeNA中畑清監督(59)は20日、神奈川県の戸部署で一日警察署長に就任し、横浜駅では大勢の通行人に防犯を訴えながら交流した。本職の野球でももちろん来季も最大限のファンサービスを誓う。就任以来2年間で164敗も喫したが、試合後のインタビュー拒否は1度もなし。「求められる限り最後までこの記録は続けたい」と話す。マスコミに対しても「ニュースを提供したい」というのは、その背後にファンがいればこそ。キヨシに特定秘密保護法は、ない!

 防犯キャンペーンも最後はファンとの交流になった。横浜そごう前のステージでは「キヨシ」コールが起こると声をからして答えた。「来年は必ず感動を与えます。たまには負けますけど。しょっちゅう負けているじゃないか!」と自分でボケては突っ込み笑いを誘った。

 2年間で164回も負ければ、どんなにおおらかな人だって、しゃべりたくない日もある。それでも男中畑はグッと耐え、テレビカメラの前に立つと明るく振る舞い続けた。「1度も断っていないよな。この記録は最後まで続ける。要求がある限りね。ファンが求めるなら期待に応えたいんだ。勝っても負けても知りたいことはあるでしょう」と話していた。

 最下位に終わった就任1年目の観客動員は、116万5933人だった。CS争いを9月まで演じ6年ぶりに最下位を脱出した今季は、142万5728人に増えた。実に22・3%アップだ。監督の率先したサービス効果も大きい。スタンドから声がかかれば、近づいて行って語りかける。サインで行列ができても途中でやめることはない。

 マスコミに対しても同じだ。バックに大勢のファンが見えている。「ニュースを提供したい。球団は余計なことを言うな。(口に)チャックって言うけどね。しゃべり続けますよ!」とちょっぴり冗談めかして話してもいた。誰にもできない、自分ならではの監督像を作り上げようとしている。

 ファンが「中畑清」に何を求めているのか。もちろん勝利が第一だが、届けたいのは笑顔だ。「本当はオレだって落ち込むときはあるよ。だけど、それを出したらダメだろ」。そんな本音をこぼしたこともある。それでも来年も、負けたってファンに熱いメッセージを送り続ける。秘密はなしよ!【矢後洋一】

 ◆特定秘密保護法案

 安全保障に関する情報を、防衛、外交、安全脅威活動防止、テロ活動防止に分類し、特別に秘匿する必要がある情報を「特定秘密」に指定し、第三者に漏らした国家公務員らに最高刑で懲役10年を科す内容。記者など民間人も対象で、特定秘密取得のため脅迫や不正アクセスなどを行えば、最高で懲役10年になる。ただ、(1)何が「特定秘密」に指定されているか、何年たっても分からない(2)政府に都合がいい情報が隠蔽(いんぺい)される恐れ(3)国会も裁判所もチェック不可能(4)国民の「知る権利」の侵害などが問題視されている。