4番任せろ!

 阪神の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ3A)が10日、来日した。関西空港から沖縄にそのまま移動し、読谷村の宿舎で会見を行った。誕生間もない長女の体調不良で予定より4日遅れての来日となったが、周囲の雑音を一掃。最速なら16日DeNA戦(宜野湾)でデビューする意気込みだ。

 赤と灰色のチェックのシャツに整った丸刈り頭。午後5時54分。はちきれそうな上半身を見せつけ、ゴメスが公の場に姿を見せた。キャンプインから10日目。虎党をやきもきさせた新4番候補の来日で、14年版タイガースのすべてのピースがそろった。

 「(これまで)7、8年ずっと4番を打ってきた。4番として結果を残してきたと思いますし、4番(の重圧)についてはそんなに気にしない」

 ボタンを開けたシャツから見える、厚い胸板が期待を大きくする。昨季は3Aで29本塁打を放った。

 「自分はパワーヒッター。パワーヒッターのするべきことは大きいのを打つこと。それを考えながらやりたい」

 阪神の4番の重圧、本拠地の広さも関係ない。リーグ最下位のチーム82本塁打に沈んだ阪神にとって、ゴメスの成績はチームの浮き沈みに直結する。来日が当初の予定より4日遅れ、周囲は心配した。そんな不安を「最近練習はできていなかったけれど、2日ぐらいあれば(体は)仕上がる」と吹き飛ばした。心配はご無用。4番は任せろ-。表情は自信に満ちていた。

 成功するために、やるべきこともやってきた。母国ドミニカ共和国出身の中日ルナからは「日本は変化球がいっぱい来るから準備をしておけ。それができれば成功できる」と助言を受けた。球団から送られたDVDでは、日本の投手を映像でチェック。「名前が日本語で中日のカブレラしか分からなかった」と苦笑いだったが予習はバッチリだ。

 そうなれば後は実際に日本野球を体験するしかない。「15日(の紅白戦)は早すぎるけれど、それ以降に出たい」。16日にはDeNAとの練習試合、19日は楽天戦がある。今日11日から体を慣らし、早ければ第3クール中にも実戦に臨む意気込みだ。

 来日前はランニングや打撃練習に取り組み、仕上がり具合は80%という。日本野球への対応ではオマリー打撃コーチ補佐のバックアップもある。目標は「優勝すること。チャンピオンシップをとることだけが自分のゴール」ときっぱり。虎の命運を握る男は目をぎらつかせた。【松本航】

 ◆マウロ・ゴメス

 1984年9月7日、ドミニカ共和国生まれ。03年レンジャーズと契約。10、11年ブレーブス傘下を経て12年レッドソックスに移籍後メジャー昇格し、37試合で2本塁打、17打点、打率2割7分5厘。昨季は4月にブルージェイズ傘下、9月にナショナルズ傘下にそれぞれ移籍。一塁のほか三塁手としても出場経験がある。推定年俸85万ドル(約8500万円)の1年契約。188センチ、104キロ。右投げ右打ち。