鬼の井端が巨人を変える。チームは27日、沖縄キャンプを打ち上げ、宮崎からの約1カ月間の鍛錬の時を終えた。原辰徳監督(55)は中日から新加入の井端弘和内野手(38)を「鬼のような顔をしている」と表現。取り組む姿勢や、坂本ら若手内野陣への波及効果を認めた。早くも開幕1週間前の好状態を完成させたベテランは、レギュラー獲得へ、まい進する。

 キャンプを終え、原監督の頭の中には、1人の鬼の顔が浮かんでいた。この日はキャンプで一番目立った選手について「個人名を挙げるより、チーム内の勝ち残りに向かって頑張っている連中を見ていきたい」と名前を出すことはなかった。だがキャンプ中、井端の表情を「鬼」と評して絶賛していた。

 原監督

 古城が昨季で引退し、井端の存在が大きい。特に坂本にとっては、振り向けば井端がいる。あの怖い風貌で鬼のような顔をしている。グラウンドでの笑顔は坂本のいいところでもあるが、練習でも引き締まった表情になってきた。

 坂本は鬼の視線を常に受けていた。守備練習で後方から見守っていた井端から数字を発せられた。「ノックの1球1球の守備に対して『今のは何点』と点数をつけてくれる。1球に集中してやれるし、自分の中での確認になる。ありがたいです」。ゴールデングラブ賞を7度受賞した名人からの採点に感謝した。

 井端は巨人に波及効果をもたらした。だが鬼自身も虎視眈々(たんたん)とレギュラーを狙っている。昨年10月に右足関節の骨棘(こっきょく)除去手術と右肘関節の形成術を受けたが、順調に回復。沖縄では若手に交じって毎日、早朝特守を受けた。実戦ではセンターから右方向に打球を限定し、テーマを消化。「やるからには頭(先発)で行きたいと思っている。そのつもりで過ごしていきたい」。定位置奪取への角を磨いている。

 宮崎キャンプ時は聞き慣れないシフト名などに戸惑いも覚えたが「解消できた」と不安はもうない。開幕まで約1カ月だが、井端の感覚は違う。「例年より2、3週間は仕上がりが早い。開幕1週間前ぐらいの状態。いつもはスロースターターのつもりじゃないけど、入れば何とかなるという感じだった。今年はあとは気持ちを入れるだけ」。肉体は整った。闘志が入れば、鬼に金棒になる。【広重竜太郎】