<日本ハム5-2ソフトバンク>◇1日◇札幌ドーム

 日本ハム小谷野栄一内野手(33)が、代打で勝負強さを発揮した。7回、同点に追いついた直後の1死一、二塁で、ソフトバンク摂津から左翼線へ勝ち越し二塁打を放った。今季、代打起用で7打数4安打5打点。札幌ドームでは3月28日開幕戦(対オリックス)以来の打点で、逆転勝利に導いた。

 神々しいまでのオーラが漂い始めた。2点差を追いつき、さらに1死一、二塁の7回。日本ハムの代打・小谷野が、ソフトバンク摂津の決め球シンカーを左翼線に運んだ。「みんながつないでくれるから、楽に打席に入れます。次につなげようとシンプルに打席に立てています」。前日7月31日に続く、代打での決勝打。1打席で結果を残す、「神の領域」に近づいた。

 右膝内側側副靱帯損傷から復帰した7月1日以降、代打成績は6打数4安打5打点と、当たりが止まらない。昨季まで在籍した二岡の言葉を脳裏で反すう。また野手だけではなく、救援投手にも話を聞きに行った。「(序盤から)気持ちを入れすぎても、もたない。集中力には限りがありますから」。出番のタイミングを読み、直前にスイッチを入れる。もちろん目指すのはレギュラー復帰だが、今与えられている役割をこなすために、最大限の努力を続けている。

 離脱中は「他にできることがなかったから」と筋力トレーニングに励んだ。朝も、夜も、ウエート室には小谷野の姿があった。「(太さは)計っていない」が、腕の筋肉は2倍近くに隆々と盛り上がった。その体は、圧倒的な存在感。イベントで2軍の千葉・鎌ケ谷を訪れていた新人プロレスラーが、“先輩”と見間違えてあいさつしたほどだ。

 スタメンでも、ベンチスタートでも、小谷野がいるだけで相手の脅威になる。「途中からだとしても、少しでも試合に出たいですから」。飢えた獣のような鋭いまなざしが、「新代打の神様」の恐怖感を増幅する。【本間翼】