<日本ハム3-8ソフトバンク>◇2日◇札幌ドーム

 また6連勝の壁を越えられなかった。日本ハムは延長12回に力尽き、連勝が5でストップした。1回に中田翔内野手(25)の19号先制2ランも、救援陣が踏ん張れなかった。栗山英樹監督(53)は就任3年目で7度目の6連勝への挑戦も失敗。5時間27分の今季パ最長試合で8人継投は実らなかった。首位ソフトバンクとは再び8ゲーム差。カード勝ち越しがかかる今日3日は、初の2桁勝利を目指す先発大谷で、仕切り直す。

 我慢比べが、終わった。延長12回。英知を絞り出した栗山監督が、頬づえをつき見守るしかない衝撃だった。無失点でしのげば最低限、黒星は回避できたが力負けした。2イニング目に突入した矢貫が、先頭の柳田への右前打から決壊した。6安打を集中されて5失点。5時間27分の激闘は、心に激痛を伴った。思いを吐き出した。「投手を生かし切れなかったのはオレに責任がある」。

 就任3年目で、自身初の6連勝を手中に収めかけていた。中田の先制2ラン、不振のメンドーサの6回1失点の粘投。急造三塁手の近藤が好守を連発。投打の役者そろい踏みで7回以降、得意の継投策で接戦勝利を狙った。誤算は8回。直前の7回2死から投入した3番手カーター、交代した宮西が連続四球。無死一、二塁として自滅でピンチを広げ、振り出しに戻った。クロッタの緊急降板で手狭になったが、言い訳せず。「いろいろな考え方があるから」。結果は無念も、コーチ陣と策を練り、貫いた信念には誇りを持った。

 心身充実で遂げていた進撃が一時停止した。球宴期間中の7月17日から2日間のオフ。北海道で居を構える栗山町の「栗の樹ファーム」で静養した。勝率5割前後から一進一退を繰り返した、我慢の前半戦を終了。野球を頭の片隅に追いやり、町の仲間たちと過ごした。夜な夜な出かけ、街灯の下などを転々と巡った。お目当ては少年時代のあこがれ。ミヤマを中心に、ノコギリも含めクワガタ約30匹の捕獲に成功した。

 激務の重責を一時、自ら解いた。クワガタが集結する狙いを定めていた優良スポットは、熊が出没する可能性があり回避。「ノコ(ノコギリクワガタの略称)って何かいいよね」と童心に帰り、もう1つの姿の指揮官としての戦闘態勢を整えた。クワガタ以上の執着心で、むさぼるように6個連続の白星を重ねにいったが、報われなかった。真夏の北海道での激戦は今日、次カード5日からのオリックス2連戦(帯広)と続く。「負けちゃいけないので頑張ります」。切り替え、手綱を締め再度、反攻へ向かう。【高山通史】

 ▼日本ハム栗山監督が就任以降初の6連勝はならなかった。5連勝は12年9月23~29日に初めてマークし、今回で通算7度目(今季3度目)だったが、またしても連勝は5でストップ。連勝を止められた相手は、ソフトバンクが最多3度で、西武、ロッテが各2度。