阪神が米大リーグ・アスレチックス中島裕之内野手(32)の獲得調査を行っていることが25日、分かった。常勝軍団を目指すため、日本復帰の可能性がある大物内野手に狙いを定めた。掛布DCの「31」、和田監督に金本の「6」という球団が誇る「レジェンド背番号」と三塁の定位置を用意し、解禁となり次第、交渉に乗り出す方針だ。

 激しい優勝争いを繰り広げる中で、常勝軍団を目指した補強戦略も着々と進行していた。8月に入り球団は編成会議を開き来季の補強方針などを話し合った。今日26日からの巨人3連戦中に南球団社長、高野球団本部長、中村GMらフロント陣が現場とのすり合わせを行う予定。その中で来季の目玉として決まったのが中島獲得プランだ。

 12年オフに米大リーグに移籍した中島に対し、阪神は早くから調査に乗り出していた。今年7月に渡米した中村GMはアスレチックス傘下マイナーで奮闘する中島の動きをチェック。その結果、今季で契約終了となる中島が日本復帰を決断すれば、獲得に乗り出す方針を固めた。

 中島は地元の兵庫県伊丹市出身で、伊丹北高からドラフト5位で西武へ。清原の背番号「3」を受け継ぎ、09年には最多安打のタイトルを獲得。ベストナイン4度、ゴールデングラブ3度とパ・リーグを代表するスター選手となった。12年に海外FA権を行使して、米大リーグ・アスレチックスと契約した。開幕前の故障などで出遅れメジャー出場はないが、実力的にも人格的にも若手選手の手本になれると評価している。

 復帰となれば、日本球団による争奪戦も予想される。阪神は中島獲得の秘策として、破格の条件も温めている。ミスター・タイガース、掛布DCが現役時代に着けていた「31」、和田監督から鉄人金本と受け継がれた「6」を用意するプランだ。三塁の定位置に加えて、猛虎が誇るレジェンド級の背番号も携えて「恋人」を揺さぶりにかかる。

 日本人メジャーリーガーの獲得には生え抜きを応援するファンの風当たりも強いが、常勝軍団構築と、若手育成につながる外部の風を入れるため、あえて踏み切る。中島は早ければ、9月上旬に2Aでのシーズンを終える。球団は交渉解禁となり次第、即アタックする方針だ。優勝争いが佳境を迎える裏で、猛虎の補強戦略も本格的に動き出す。

 ◆中島裕之(なかじま・ひろゆき)1982年(昭57)7月31日、兵庫県伊丹市生まれ。伊丹北から00年ドラフト5位で西武。高校では主に投手で、プロ入り後、遊撃手にコンバート。04年にレギュラーに定着。08年北京五輪、09年WBC日本代表にも選出。12年オフに米大リーグ・アスレチックスと2年契約。13年は春季キャンプで左太もも裏を故障して開幕を3Aで迎え、メジャー出場はなし。2年目の今季もメジャー出場はなく、4月に2Aに降格した。180センチ、90キロ、右投げ右打ち。