今こそ「絶対いける」と叫ぼう。猛虎よ、奇跡を起こせ!

 阪神は今日9日から今季最後の巨人3連戦を甲子園で戦う。首位に立つ宿敵には4・5ゲーム差をつけられている。9年ぶりのリーグ優勝に後がない状況。12日からは広島戦も控える9連戦に和田豊監督(52)は呉昇桓投手(32)の2イニング起用、西岡剛内野手(30)、松田遼馬投手(20)の戦列復帰も含めた総力戦でぶつかっていく。

 和田阪神は背水の陣だ。「天王山」のはずだった伝統の一戦を、まさかの崖っぷちで迎える。ペナントレース残り20試合。最後の直線で猛烈なラストスパートをする力は残っている。9年ぶりのリーグ優勝へ、とにかく勝つしかない。阪神首脳陣も総力戦でぶつかっていく覚悟を決めた。

 (1)呉昇桓の全開

 接戦必至の9連戦に、守護神呉昇桓にも禁断はない。52試合でダントツの34セーブ。ここまで2度のイニングまたぎはあるが、1回1/3が最長だ。中西投手コーチは投入のタイミングを「基本は同点まで」としながらも「もし1点負けている場面で使って、同点になったら2イニングいってもらう」。早い回から安藤、福原の勝ちパターンも投入する。劣勢でも粘り強く諦めず、終盤に勝機を見いだす。

 (2)起爆剤の投入

 胸突き八丁で、元気いっぱいに奮い立たせる救世主候補がいる。背中の張りから復帰した西岡は、今日9日ウエスタン・リーグのオリックス戦で守備に就く予定だ。9連戦中の1軍合流も視野に入れ、和田監督は「起爆剤」の声に「そうだな。まず仕上がらないと」と期待する。昨季ブレークした松田も、右肘痛が回復してスタンバイOK。20歳の快速球が、ブルペンを勢いづける。

 (3)目覚めよ攻撃

 7日までの中日3連戦は、27イニングで2得点と沈んだ。猛虎打線の目覚めなくして連勝街道は見えてこない。和田監督は「起きるんじゃなくて、起こさないとな。もう1回勝負できるところまで」と力を込めた。夏場から「勝負」と宣言していた9月。全員野球の一戦必勝を掲げるが、得点には結びつかない。即刻たたき起こして奇跡へとつなげる。

 巨人、広島との甲子園での戦いは今季10勝4敗と大きく勝ち越す。ゲーム差だけでなく、阪神は上位3チームで最も試合消化が早いだけに、巨人と「6」、広島と「3」ある負け数の差も詰めなければならない。強敵との直接対決は厳しくもあり、逆にいえば最大のチャンス。虎の底力、1年間の集大成を見せる時が来た。【近間康隆】

 ◆呉昇桓のイニングまたぎ

 5月13日広島戦で延長10回2死満塁で登板しエルドレッドを三振。続く11回も無失点。2度目は8月8日広島戦。2点リードの8回2死一、三塁で会沢を二ゴロに打ち取ると、9回を3者凡退で26セーブ目を挙げた。昨年12月の入団会見で「自分は何イニング投げてもいい。(韓国で)5イニングまで投げたこともある」と豪語していた。

 ◆西岡と松田の近況

 西岡は背中の張りを訴え7月23日に出場選手登録抹消。5日ウエスタン・リーグ広島戦で実戦復帰した。6日同戦で初安打をマークした。松田は右肘痛から復帰し8月3日に同リーグ、オリックス戦で初登板。同リーグ11試合で10回2/3を投げ、11安打9失点で10奪三振。連投や回またぎもこなした。