阪神が今秋のドラフト候補として東農大北海道の風張蓮投手(かざはり・れん、4年=伊保内)をリストアップしていることが18日、分かった。日本代表候補にも名を連ねる最速151キロ右腕で、8月末の北海道6大学リーグ開幕戦では8回までに17三振を奪う快投を演じた。関係者によれば、投手補強を今オフの最重要課題に掲げる中で風張に即戦力級の評価をし、上位指名の可能性もあるという。

 逸材は北の大地にいた。8月末の北海道6大学リーグ開幕戦、風張は北海道教大函館を相手に8回3安打、17三振を奪って勝利した。6球団10人のスカウトが見つめる中での快投だったが、阪神は最も多い3人体制で視察した。関係者によれば、即戦力に近い評価をし、上位指名の可能性すらあるという。

 風張は全国的には無名だが、高校時代からスカウトの間では知られた存在だった。伊保内高は強豪校ではなく甲子園出場はならなかった。それでも最速147キロ右腕に10球団が注目する中、進学を選んだ。東農大北海道に進むと自慢の直球に、制球力も加わって成長、今年も含めて2年連続で日本代表候補に名を連ねた。カーブ、スライダー、ツーシーム、フォークも操るが、何よりも魅力なのは直球に力があり、さらなる伸びしろも感じさせる点だという。

 今秋、猛虎のドラフト戦略は明確だ。球団幹部が「全員投手でもいいくらい」というほど投手補強にこだわっていく。ドラフト1位は済美・安楽、早大・有原を軸に慎重に検討を重ねている段階だが、2位指名以降は即戦力投手を指名していく方針。即戦力級としてリストアップされた風張が上位指名候補となる可能性はありそうだ。

 チームは今季、4番ゴメス、ストッパー呉昇桓を獲得して、戦力をそろえた。一方で先発陣はシーズン最後まで5人目、6人目に苦労し、リリーフもベテラン安藤、福原に頼らざるを得ない状況が続く。常勝軍団の根幹を担う投手陣をさらに強固にするために、網走でコツコツと地力をつけてきた右腕を今後もマークしていく方針だという。

 ◆風張蓮(かざはり・れん)1993年(平5)2月26日、岩手県九戸村生まれ。長興寺小3年から「銀杏クラブ」で野球を始める。伊保内高では2年秋、岩手県大会1回戦の花巻南戦で17三振を奪い、注目された。3年夏は県大会3回戦進出。東農大北海道入学後は1年と3年の時、全日本大学野球選手権出場。家族は両親、兄、弟。185センチ、82キロ。右投げ右打ち。