<阪神7-3中日>◇20日◇甲子園

 100点満点も通過点!

 阪神の4番ゴメスが1年目助っ人としては球団史上初の100打点をクリア。同点打、決勝打に25号ソロまでたたみかけて102打点に達した。6回の二塁打で来日初の1試合4安打。南球団社長から和田監督に「全勝指令」が飛んでからどとうの3連勝だ。2位浮上、CS突破まで、打ちすぎゴメンのゴメスが突っ走る。

 グラウンドでは大きく、たくましいゴメスが、試合後はいつも決まって小さくなる。群がる報道陣の中心で、指先に視線を落として丁寧に一言、一言…。決してビッグマウスではない。それでも最後には照れくさそうに偉業をかみしめた。

 「100打点は設定した目標の1つ。達成できてうれしい。これからは110。いや、それ以上を目指して頑張るよ」

 あっさりと壁を突破した。1点を先制された直後の1回2死二塁。カウント2-2から中日雄太の138キロ直球に詰まりながらも中前にポトリと落とす。大台の100打点を同点適時打で達成。来日1年目での快挙に関川打撃コーチが「聞く耳を持っている。日本のピッチャーのことをしっかり勉強しているから」と理由の一端を明かした。

 謙虚な姿勢は、関係者が口をそろえるところ。米国帰りの途中加入建山でさえ「相手を敬って謙虚。他の外国人と比べてそれが印象的かな」と言ったほどだ。本拠地での試合前練習。マートンと2人で最後に打撃練習を行う。打ち終わるとすぐさま打撃投手の元に駆け寄り、ボール集めに参加。そのまま日本で覚えた特技の肩もみを繰り出し、投げてくれたことへの感謝を示すこともある。

 相手のミスに乗じた3回無死二、三塁からの中前打が決勝打。5回には先頭で真ん中に入った初球を仕留めた。左翼スタンドへの25号ソロで中押し。打てば打点の大暴れで、一気に102打点とした。阪神打者でも10年のブラゼル、新井、鳥谷以来4年ぶりの100打点超え。誰もが認める主砲は、2位を猛追する3連勝にも、気にかかることがあった。

 「ホームラン打った後の儀式ができなくて寂しいよ。早く戻ってきてほしい」

 本塁打の度にベンチ前でポーズを決めてきた相方今成は、右脇腹の挫傷で13日に戦列を離れた。2軍調整中のチームメートへの思いを語ると、また照れた。CSでの復帰を目指す今成と再び戦うためにも、目の前の戦いに勝つしかない。チームを愛し、愛されるゴメスが、進撃の旗を振る。【松本航】

 ▼ゴメスが1回に適時打を放ち、今季100打点に到達した。来日1年目の外国人選手が100打点は、09年ブランコ(中日)以来5年ぶり17人目。阪神では初めて。なお阪神打者のシーズン100打点以上は、10年ブラゼル117、新井112、鳥谷104以来4年ぶり。外国人ではバースの85年134、86年109、03年アリアス107、10年ブラゼルに次いで4人目、5度目。