西武炭谷銀仁朗捕手(27)が、今オフにFA権を行使せずに来季残留する意思を固めたことが10月31日、分かった。今季8月14日に出場選手登録日数が8年に達し、国内球団への移籍が可能となるFA権を取得。この日まで球団と話し合い「今はまだ何も言えないし、決まっていない」と話すにとどめていたが、近い関係者の話を総合すると、来季もプロ入りから9年間所属してきた西武でプレーすることを決断した。

 挑戦し続ける気持ちが炭谷を残留へと導いた。今季は、抜群の打撃センスを発揮したルーキー森の台頭で、今後はレギュラーが安泰とは言えない状況を突きつけられた。球団との下交渉でも特別扱いなしのFA権を考慮しない単年契約を提示された模様で自身の立ち位置も再確認させられた。それでも「僕は、この世界にいる限り、毎年、毎年が勝負だと思っている。このチームで日本一になりたい」と、常々口にする信念を貫いた。

 高卒1年目から1軍で活躍し、13年WBC日本代表メンバーとして戦った。今季は123試合に出場し、盗塁阻止率は両リーグトップの4割4分4厘をマーク。球界屈指の強肩に加え、チームメートからの絶対的な信頼と、積み重ねてきた経験は簡単に失うものではない。仮に今オフ、FA権を行使すれば複数球団による争奪戦は必至で、より好条件での移籍も可能だったはず。それでも交渉の席に着くことすら拒み、愛着ある西武で来季もプレーし続けることにこだわった。