阪神がセットアッパー左腕の育成に本腰を入れる。今季のドラフト1位岩貞祐太投手(23)に救援転向プランがあることが9日、分かった。FAでの獲得を検討していた日本ハム宮西の残留が決まり、救援左腕の補強は宙に浮いたまま。窮状を打破すべく球団関係者が計画を明かす。

 「新人の横山の力を見てからになるけど、岩貞を中継ぎで使うことも考えている。教育リーグで投げさせて、日本シリーズでも準備していた。榎田の1年目みたいな感じになるかな」

 伸び盛りの左腕が、必勝リレーの一角を託されるかもしれない。あくまで先発候補として競争させる方針だが、ドラフト1位で指名した左腕横山雄哉投手(20=新日鉄住金鹿島)が先発の適性を示せば、岩貞の配置転換が現実的になる。

 プロ1年目の今季は左肘痛で出遅れたが、6試合に先発して1勝4敗、防御率4・60だった。ポストシーズンは中継ぎ左腕が手薄な状況もあって救援で待機。日本シリーズも、登板機会こそなかったがリリーフ要員としてベンチ入りしていた。救援投手は出番までに肩を作る調整力が問われるが、問題なく仕上げる適性がある。

 シーズン終盤、左腕セットアッパーは32歳の高宮1人に頼る状況だった。36歳の加藤は夏場以降、調子を落とし、33歳の筒井もシーズンを通して本調子ではなかった。30歳代のベテランだけに頼れない。早くも榎田は来季の中継ぎ配置が決定。岩貞は躍動感があり、球の切れで勝負できるタイプだけに勝利の方程式に定着できれば試合運びも安定する。若きサウスポーも加われば人手不足は解消される。