<プロ野球ドラフト会議>◇23日

 神宮で羽ばたく!

 東農大北海道・風張蓮投手(4年=岩手・伊保内)がヤクルトに2位で指名された。高校時代からプロ注目だった最速152キロ右腕は、オホーツクの地でさらなる成長を遂げ、5年越しの夢をかなえた。

 風張が時折目をこすり、頭をかきながら冷静さを保ち、テレビ画面をじっと見つめた。ウエーバー方式で2位指名の最初だったヤクルトの画面に名前が浮かび上がった。樋越勉監督(57)とがっちり握手。「良かったな」と背中をぽんとたたかれると、やっと笑顔を見せた。「内心ドキドキでした」。8度の寒空の下、チームメートから胴上げで祝福され、満面の笑みになった。

 網走で力をつけた。伊保内時代からプロの注目を集めたが、大学進学を決めた。当時の伊保内の屋形場哲也元監督(43)には「1位でプロに行きます」と宣言。夏は水産加工会社でホタテ漁を手伝うバイトなどで遠征費を稼ぎ、冬は流氷が広がるオホーツク海のそば、氷点下10度を下回る極寒の中、4年間を過ごした。1日多い時で40キロを走り込み、下半身を強化。4年前に夢見た通り、上位指名をつかみ取るまでに成長した。

 肩の強さは小学生の頃から発揮していた。今も出身地の岩手県九戸村には風張の投手としてのセンスを示す証しが残されている。九戸小6年だった04年。村の小学校陸上記録会のソフトボール投げで助走なしで同村最高記録の61メートル37をマークした。高校、大学で潜在能力をしっかり伸ばした。

 ヤクルト本拠地の神宮は、1、3年時の全日本大学選手権で経験している。大学生活最初で最後の明治神宮大会(11月14日開幕)出場も控える。「思い入れのある球場を持つ球団。真っすぐで押していく投球で、チームに勝利をもたらす選手になりたい」。ヤクルト入りには前向き。オホーツクの剛腕が神宮で暴れる日が実現しそうだ。【保坂果那】

 ◆東農大北海道とドラフト指名

 育成枠も含め過去8人(社会人経由含む)。96年オリックス5位の栗山聡投手が第1号で、98年オリックス5巡目の徳元敏投手、三菱自動車岡崎を経て01年ヤクルト5巡目の福川将和捕手の3人が過去の最高位だった。最新は12年ソフトバンク育成3位の飯田優也投手(今年5月に支配下登録)で、ほか現役は05年ソフトバンク育成1巡目の小斉祐輔内野手(現楽天)がいる。